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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

続々・ささやかな無駄遣い(後)
これにて完結です!チルチルしたー!

ちゃんといかがわしいも入れましたし、私としては思い残すことはないです!笑 ボサノバの似合う話になっているといいなーと思いつつ、ここから暫くは影で作業をしようと思います。モブマサと原稿やります!!!

では、本文へどうぞ!



<続々・ささやかな無駄遣い>

 一度、二度。軽く啄むと、薄く口唇が開く。
 シュウはマサキに招かれるがまま、隙間へと舌を挿し入れた。蠕動するマサキの舌はシュウの舌を探し求めているようだ。その舌の裏、舌下面に自らの舌を滑り込ませたシュウは、余すことなく舌先で滑りの良い滑らかな肉の感触を味わった。
 次いで内頬、口蓋と舐め取る。
 追い掛けてくるマサキの舌が、待ちきれないといった様子でシュウの舌の端を舐めている。ん、と小さく声を上げつつ、シュウの舌を探っているマサキからは、遠慮や気恥ずかしさは感じられない。いつしか口付けに積極的になるようになったマサキ。気取り屋の彼が欲に素直になる姿は、シュウにひとつの達成感を感じさせる。
 格好を付けたがる彼は、自分が性的に無垢であることを隠すように虚勢を張ることも多かった。シュウにリードをされるという状況が面白くないのだろう。最初の頃は、遮二無二舌を絡めてくることもままあった。けれども、時間の経過とともに、キスやセックスというものが、そういったものではないと覚ったようだ。
 人間同士が行うことである以上、相手のすることを受け入れたり、待ったり、或いは誘いかけたりする駆け引きもまた愉しみのひとつ。シュウはわざわざそれを言葉にして彼に伝えはしなかったが、シュウの振る舞いで理解をしたのだろう。その醍醐味に気付いてからのマサキは、シュウの手を焼かせることをしなくなった。従順に身を任せ、時に小悪魔的に誘惑を重ねてくる。いじらしく待つこともあれば、表情で訴えてくることもある……
 シュウはいっそう深く口唇を合わせると、いよいよマサキの舌へと自らの舌を絡めていった。
 深く絡めて、時に吸う。
 プラーナを大量に消費することの多いマサキは他人に口付けられる機会も多かったか、人事不省状態に陥っているからだろう。その大半を覚えていないようだ。それでも微かに残っている記憶――彼女らの舌の温もりと比べると、さらりとしたシュウの舌は舌を絡め易く感じられるらしい。
 だからか。ようやく欲しいものを得たマサキは、シュウが驚くほどに大胆になる。今もそうだ、積極的に舌を絡めてくるマサキに、なるべく好きにさせてやりつつも思う存分、シュウはマサキの舌を味わった。
 そうして顔を剥がし、首筋へと。
 けれども、口付けには積極的だったマサキは、性行為《セックス》となると思うところがあるようだ。ちょっと……待てって……抵抗するような素振りをみせたマサキに、嫌なの? シュウは耳元で囁き掛けた。
「カーテンが開いてると、何か、落ち着かない……」
「誰が見ている訳でもありませんよ」
「わかってても嫌なんだよ」
 自分の中に一本通った芯を持っているマサキは、嫌だと口にすることを躊躇わない。それもその筈。気恥ずかしがり屋の彼にとって、船が通りかかるでもない入り江であっても、カーテンを開け放したままの性行為は確かに耐え難いものである。
 彼としてはシュウの手を解いて、カーテンを閉めに向かいたいらしい。手首を上げたマサキを、シュウは自らの身体で抑え付けた。
 絡めた指を解いて彼の手首を押え付ける。お前、と声を上げたマサキの口唇をまた塞ぐ。
 万が一、船が通りがかるようなことがあっても、その時はその時だ――と、いうより、シュウとしてはむしろマサキの痴態を誰かに見せたくて堪らなかった。16体の正魔装機の頂点に君臨する風の魔装機神の操者。市井では仲間に女性が多いにも関わらずストイックな戦士と名高いようだ。
 そういった評価を得ているマサキを、自分だけが乱すことが出来る。シュウの肥大した優越感は、だからこそ醜悪な嗜虐へとシュウを駆り立てていった。そう、性行為に我を忘れるマサキの姿を衆目に晒したいと望んでしまうまでに。
「何かあったとしても、望むところでしょう」
 口唇を離したシュウはマサキにそう囁き掛けた。見せたい。晒してしまいたい。そこまでは口にはしなかったが、そのひと言で、マサキにはシュウの目論見を理解したようだ。
「や……馬鹿、お前、本当にそういうところ……」
 けれども、本気で抵抗をしようとまでは思っていないらしい。微かに手を振り解けないかと試みはしたが、それまで。欲に弱い剣聖はいつもこうだ。結局はシュウの誘惑に屈してしまう。
 全く……と、びくともしないシュウの手に諦めたように呟いたマサキが、真っ直ぐにシュウを見上げて言葉を継ぐ。
「誰かに見られたら、責任取れよな」
「あなたを娶るのに躊躇いはありませんよ」
「お前、直ぐそういうことを云うのな……」
「私に娶られるのは、嫌?」
「嫌じゃねえけど、そういうのが最後の責任の取り方になるのは嫌だ」
 なら、どうすればいいの。シュウはマサキの耳朶を食んだ。ひくり、と身体を震わせたマサキが、直後には、あ。あ。と短い喘ぎ声を上げ始める。
 耳を舐られるのが好きなのだ。
 特に左耳の裏側――付け根が弱いようだ。ゆるゆると舌を這わせていくと、腰を浮かせてよがる。あっ、ああっ。シュウはバスローブの裾の中へと手を忍ばせていった。抵抗する割には、マサキの身体は火が点き易い。彼の男性器の状態を確かめたシュウは、ゆっくりと口唇を耳から滑らせていった。
「教えて、マサキ。私はどうすればいい?」
 耳から首筋。首筋から鎖骨。そうして、マサキのバスローブの紐を解いて、乳首へと。舌と口唇を使って丹念に愛撫を加えてゆく。ああ、あっ。細かく彼の口を衝く喘ぎ声が、そのトーンを高めてゆく。
「捨てるなよ」
 甘ったるくも頼りない声の合間に、マサキが明瞭《はっき》りと言葉を吐く。
「人のこと、こんな風にしておいて、捨てやがったらただじゃおかねえ」
 激情家だけあって、情のこわい男だ。剣聖の名に与るまでに剣の腕の立つ彼の手に掛かっては、例え様々な才能に恵まれているシュウであってもただでは済むまい。腕の一本は覚悟しなくては――そう思うも、そんな日が永遠に来ないことをシュウは知ってしまっている。
 崇拝し、執着し、恋焦がれ続けた相手。手に入れてからは増々その思いが強くなるばかりだ。冷めることを知らない自らの激情に、どうして飽きることなどあったもか……そう思いながら、勿論ですよ。シュウは深く頷いた。
「私はあなたのものですから。私を捨てていいのは、あなただけ」
 そうして、すっかり硬くなって突き出ているマサキの乳首を吸い上げる。
 心なしか、初めの頃と比べると膨らみを増したように感じられる乳首。シュウはふたつの乳首を時間をかけて、それぞれ舐った。舌先で転がし、突き、吸い上げ、舐め取る。その硬さは彼の感度の高さの表れでもあるようだ。びくびくと立て続けに身体を震わせたマサキが、やだ、とも、もっと、とも付かない言葉を発する。
「嫌なの? それとももっと?」
「ちゃんと可愛がれって云ってるんだよ。手を抜いたら怒るぞ」
 横暴ながらも、欲の詰まった言葉にシュウが逆らえる筈がない。シュウは愛撫を全身へと広げていった。
 手の甲に口付けて指を舐り、腰部に紅斑を刻み付け、背筋に口付けながら舌を這わせる。その都度、腰を反らせて喘ぐマサキの愛くるしさ。目を潤めてシュウに視線を投げてくる彼の、しどけなくも色気に溢れた姿など、この世で誰が他に見られたものか。
 すっかりシュウの愛撫に慣れた身体を、更に自分に慣れさせてゆく悦び。
 研究で真理を掴み取った瞬間の果てのない高揚感に匹敵する感情を、シュウは思う存分マサキの身体を使って発散した。腰を上げさせ、臀部を両手で掴み割り、その谷間にて収斂を繰り返している蕾へと舌を押し入れる。あっ。短く悲鳴にも似た声を上げたマサキが、あっ、あっ。と、恐らくは我知らず腰を振り始める。
「そこ、そこもっと舐めて……」
 ひだの寄った入口付近に刺激を与えられるのが好きらしい。舐めるだけでいいの? シュウの問いに、もう少しだけ。と答えが返ってくる。どうやら挿入まで今暫く、シュウの愛撫を楽しみたいようだ。
 シュウはマサキが満足しきるまでその蕾を舐った。
 途中で彼の男性器に手を這わせれば、すっかり濡れそぼってしまっている。シュウは間近にあるマサキの蕾に目を向けた。ひくりひくりと収縮を繰り返している、彼の隠された欲望の吐き出し口。挿入《いれ》たい。シュウはマサキの蕾から口を離した。
 喘ぎ疲れた身体がベッドに深く沈む。はあはあ、と荒らぶった彼の呼気音だけが響いている。
 とてつもなく淫靡でとてつもなく淫猥な肢体。日焼けの跡も明らかなマサキの腰を抱え上げたシュウは、口を開いては閉じるを繰り返しているマサキの蕾の中へと、ゆっくりと自分の男性器を収めていった。
 そうしてマサキの手を取って、身体を起こさせる。ほら、掴んで。肩越しに頭を差し出したシュウの首を絡んでくるマサキの腕。ベッドの上に膝立ちに彼を突き上げながら、シュウは回した手でマサキの乳首を嬲った。
 ――はっ、あっ。いいっ。それ、いいっ。
 時に腰を振りながら、時に胸を突き出してきながら、快楽に全身で溺れてゆくマサキ。彼のしなやかな肢体が、ベッドと夜の海とを隔てている窓にくっきりと浮かび上がっている。シュウは横目でその様子を窺った。背面からでは窺えないマサキの姿は元より、その彼を責め立てている自分の姿も良く見える。
「ああっ。イク、出る。シュウ、も、イク……っ」
 シュウに突き上げられる度に人形のように揺れる身体が、いよいよ極まった快感に連続的な声を上げている。
「あ、ああっ。ああ、ああっ。イク、イクイク。ああアッ!」
 びくん、とひと際大きく揺れたマサキの身体をシュウは抱え込んだ。そして、いっそう奥へと自らの男性器を捻じ込んでやる。
 それが決定打となったようだ。
 ひ、あっ。と、喘ぎ声とも悲鳴とも付かない声がマサキの口から洩れ出る。次いで、シュウの腕の中の彼の身体が硬くなる。ああ、アッ……そうして射精に至った彼に、次は自分の番だと、シュウは力の抜けたマサキの身体を抱え込んだ。

 ※ ※ ※

 ハウスボートを後にしたのは翌日の昼頃だった。
 残った魚料理を朝食にし、乱したベッドを整える。そうして来た道を戻ってサイバスターで帰路へと就いたシュウは、ああ、楽しかった。膝の上で機嫌良く操縦を続けているマサキに、本当に。と、深く頷いた。
「今度はあたくしたちも連れて行ってくださいよ!」
「留守番は飽きたんだニャ!」
「あたしもお魚食べたいのね!」
 一晩をサイバスターで過ごすことになった一羽と二匹の使い魔は、帰途の間中、次は連れて行けと煩かったが、マサキがどう考えているかはさておきとして、シュウ自身としては暫くはあの場所に彼らを入れるような真似はしたくなかった。
 宝箱の中に詰まった宝石のような場所。地上の楽園。
 のんびりとした時間を過ごして英気を養うのに、あれ以上の場所はそうない。シュウは日常に戻る寂しさを感じつつも、その日々をこれまでとは違った風に過ごせそうだと期待しながら言葉を吐いた。
「いい買い物でしたね、マサキ」
 だろ? と、振り返ったマサキの得意げな顔が愛しく感じられて堪らない。シュウはマサキを抱える腕に力を込めながら、またいつか連れて行ってください。そう口にして、モニターに映るこれまでとは違って見えるラングランの平原に目を遣った。

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