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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

夜離れ(22)
皆様は二次創作をやられますか?
文章を打っているときにどんな顔をしていますか?
 
ちなみに私は真顔で自分の打っている文章や場面に逐一ツッコミをし続けています。そこで、私がどんなツッコミをしているか言いたいんですけど、それ言っちゃうと全てが台無しになってしまうので、頑張って黙ります。このまま私が黙り切れたら褒めてください。
 
※シュウ×モニカの性描写があります※

夜離れ(22)
 
「いずれにせよ、決めるのは貴女ですよ」
 少しの沈黙があった。ややあって、モニカは覚悟を決めたらしい。枕から頭を上げると、首を傾げてシュウの顔を眺め、
「だったら今で構いませんわ」
 覚悟を以て行為に挑んでも、その瞬間を目前にすれば、不安を訴え出す女性もいるのだ。経験則でそれを知っているシュウは、そこまでも自分のすべきルーティンワークとして、機械的にこなす術を心得ている。彼女らはその行動にこそ、心と身体の緊張を解いて、男を受け入れやすくしてくれるのだ。
「本当に?」
 だからこそ、性行為《セックス》においては、待つのも男の仕事のひとつ――そう考えるシュウが、重ねて問えば、彼女はベッドの上にいるとは思えないほどの無邪気な笑顔を浮かべて、
「はい。男に二言がないように、女にだって二言はないのですわ」
「わかりました」
 モニカに覆い被さっている自らの身体を宙に浮かせながら、その細い腰を抱き抱える。膝を折らせて、シーツの底に脛を沈ませてやると、膣口に男性自身をあてがい、ゆっくりとその膣内《ないぶ》に沈めてゆく。
 腰を推し進めて僅かに。痛みを感じたのだろうか。身体の強ばらせたモニカに、「力を抜いて」緊張を解くべく、耳元に囁く。「女に二言はないのでしょう?」
 はい……と、細く頼りない声を発する口元が、次の瞬間には深く結ばれる。痛みを感じているのならそう言ってくれればいいものを……さして締め付けを感じない膣内に、シュウは歯を食いしばるモニカに、それならばいっそ、と、ひと思いに腰を押し進めた。
 うぅ、と押し殺した呻き声が響く。喘ぎ声ですら殺しきってみせた彼女が、ついに発したひとことに、ほらとシュウは微笑《わら》う。そして、顔の両脇に置いた手でシーツを強く掴んでいるモニカに、
「痛い?」
「焼けるよう……」
「腰の力を抜くのですよ」
 浅く、緩く腰を動かしながら、シュウは彼女の反応を眺めていた。少しずつ、慣れた身体が足を開き始める。それに応じて、次第に強く、時には浅く。そして奥へと。シュウは男性自身を埋めていった。
 モニカの口の端から息が漏れる。何か言いたげにシュウの名を呼ぶ。一度、動きを止めると、彼女は悪びれた様子もなく、「子供を産むということは大変なことなのですね」と呟いた。
 
 二度目の交わりは、彼の吐き出した精を受け止めて終わった。温くゆるい感触が身体の奥に残る。そのまま少しの間、繋がったままベットに身を寄せ合うようにして、ふたり、身体を横たえた。
 疲れませんか? 僅かに息の上がった彼の問い掛けに、マサキもまた少しだけ息を荒げたまま、一日あっても足りない。そう答えた。そのマサキの答えに、彼は珍しくも驚いたように言葉を詰まらせた。
「珍しい。あなたがそんな殊勝なことを言うなんて」
 相当に酔っていた。視界が時々激しく歪む。きつくシュウにしがみつきながら、マサキは酔いと戦っていた。そもそもが、うわばみのように飲み続けられる他の魔装機操者たちと違って、マサキは本当に嗜む程度にしか酒を味わえないのだ。そんなところに過度な運動とあっては酒が回るのも早い。
 それでも手放したくないものがある。
 意識を失ってしまえたら楽だろうと感じるほどの泥酔感。けれども、一度の記憶の断絶がどんな結果を生むのか――マサキには容易に予想がついた。この場所で目覚められれば御の字。恐らくは病院かそれに近い施設で、自分は目を覚ますことになるのだろう。ここが誰の所有物で誰が調査に来ていたのかわからぬように。
 そういうやり口がこの男は好きなのだ。
「一度しか言わないから、よく聞けよ」
「何を?」
「その理由を答えてやるって言ってるんだよ」
「ああ、そういうことですか」
 ずうっとこの男のことを考え続けた六か月間。マサキはひとつだけ決めたことがあった。もし、この関係に心残りがあるとしたらなんなのだろう、と。考えた末に出した未練を精算するためのたったひとつの答え。それを伝えようと。

 ――愛してる。

 知っていましたよ。彼はどこか寂しそうにそう呟いて、マサキの腰を抱えたまま背中をベッドに沈め、自らの身体の上に乗せたマサキの身体の重みを確かめるように暫く。身動ぎひとつせず、静かにその身を横たえていた。
 知っていましたよ。繰り返しそう呟いて、動いてくれませんか? マサキの上半身を起こさせると、その胸元に、足の合間に、手を這わせながら。「知っていましたよ、ずうっと」何かを噛み締めるようにまた呟く。
「お前、酔ってるだろう」
「酔ってますよ」くっくと笑って、あなたに、と彼は続けた。
 巫山戯《ふざけ》ているとマサキは思う。思うけれども、そのもどかしさえも自分たちらしいともまた思う。思って、彼の肉の薄い胸元に手を置いて、緩く腰を動かし始める。いつの間にか逞しさを取り戻した男性自身を身体の奥底に深く受け入れて、少し腰を浮かせてはまた腰を下ろして受け入れる。
 彼は今、どんな顔をしているのだろう?
 それがやけに気になるものだから、マサキは指先をそうっと彼の顔に這わせてみた。眉から瞼へ、瞼から切れ込みの深い目じりへ。硬い頬骨を通って、筋の通った高い鼻。そうして、意思の強さを表しているかのように結ばれた薄い口唇へ――ああ、これは紛れもなく彼なのだ。よく知る温もりが指先からその輪郭を伝えてくるのを、マサキは無言でただ感じ取って、どうしようもない愛おしさに重い溜息をひとつ吐いた。
 
 
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