何がしたいかよくわからない話になってしまいました。四次の頃のシュウマサをやりたかったのですが、この時期のマサキは何か惰性で白河を追いかけているような気がひしひしとするんですよね。その微妙な男心を表現したかったのですが、ただのエグいエロになってしまった気がしなくもないです。
ぱちぱち有難うございます(*´∀`*)励みになります!
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<昏き森の奥深くにて>
青い機影を見かけた気がした。
電波探信儀《レーダー》に捉えた反応は、目視の限界値にあった。米粒のような大きさの機影が視界から姿を消すのにそう時間はかからず、それが果たしてマサキが追い求めている獲物であるのかは確証が持てぬまま。それでもみすみす逃すよりはマシだ。マサキは電波探信儀《レーダー》に反応が残っている内にと、即座に|風の魔装機神《サイバスター》を駆って後を追った。
距離を保ちながら追いかけること、暫く。
不意にその反応が電波探信儀《レーダー》から消失した。マサキは操縦《コントロール》を続けながら考えた。考えられる可能性は四つ。振り切られたか、妨害電波《ジャミング》を撒かれたか、稼働を停止したか、|元の世界《ラ・ギアス》へ戻ったか……いずれにせよ、ここで追跡を止めていい理由にはならない。先ずは反応が消失した地点《ポイント》へ向かい、周辺地域を探索してみるべきだ。シロとクロ。二匹の使い魔の助言《アドバイス》を受けたマサキは、その助言に従って先を急いだ。
森の中にひっそりと建つ研究施設が目に入る。格納庫を併設したかなりの規模の施設だ。と、いうことは――、マサキは考えた。この施設に入ったことで、電波探信儀《レーダー》から反応が消えたと見做すべきだろう。
しかし、直接的に訪ねてみたところで、地上世界での所属を持たないマサキの立場では施設には立ち入れないだろう。ここで例の機体が施設から出てくるを待つべきか……と、近くに集落があるのが目に入った。どうやら、森を抜ける道で施設と繋がっているようだ。
「研究施設の職員たちが、日用品や娯楽などを求めて集落に立ち寄っている可能性があるな」
「降りるのかニャ?」
「何の研究をしている施設かだけでも把握しておく必要があるだろう」
「わかったのね。後は任せて頂戴」
二匹の使い魔にサイバスターを任せて、マサキは森に降りた。降りるなり響いてくるサイバスターの動力音。静かに各|部位《パーツ》が胴体部分にフレームインしてゆく。やがて、マサキの目の前で巡航形態《サイバード》に変形したサイバスターは、ゆっくりと空へと上昇し始めた。
戦闘回避の為の上空待機だ。
簡単な機体の操縦《コントロール》は出来ても、戦闘を行えるまでの技術のない二匹の使い魔がサイバスターと己を守る為に行う操作。空中戦が出来る地上産の戦闘用人型汎用機《ロボット》が限られているからこそ可能な戦略だ。マサキはサイバスターが無事に上空に到達したのを見届けてから、森の中。舗装された道を、集落目指して歩き始めた。
手入れもされずに伸びる木々に繁る葉が空を厚く覆っている。合間から太陽の光が差し込んではいるものの、昼を数えて尚暗い。道を逸れたら方向感覚が完全に失われるだろう昏き森。その中をマサキは周囲を窺いながら進んで行った。
三十分も歩いた頃だろうか。
甘い匂いがマサキの鼻を付いた。香水のような人工的な匂いだ。そういった匂いを放つ人工的な何かを生産する場所でもあるのだろうか。マサキがそう思いながら足を進めると、道の果てが霧に覆われているのが見えた。それに伴って強まる匂い。マサキはジャケットの袖口を口元に当てるも、既に服にも染み付いてしまっているのか、匂いが弱まる気配はない。
「何、だ……? 身体が熱い……」
マサキの額にうっすらと汗が浮かんだ。身体が火照って仕方がない。
「この匂い、か……?」
身体の異変はそれだけではなかった。動く度に肌に擦れる服の感触が、やけに鋭敏に感じられてならない。特に胸の辺りや腰周りが苦しい。その敏感さたるや、一歩、歩くだけでも身体中がわななくほどだ。
まるで、そう、これはまるで……全身に襲いかかる微弱な快感に、マサキは堪えきれず道の端に座り込んだ。場所が場所でなければ、このまま自慰に及びたい。強烈な餓えと渇望が、急速に心の奥から沸き上がってくる。それがこの甘い匂いの所為であるのは間違いなかったものの、ではだからといって、その正体が何であるのか。正常な思考が奪われつつあるマサキには理解が及ばなかった。
――楽になりたい。
その一心で、マサキが道から外れた草むらの影に身体を滑り込ませようとした時だった。霧の奥に人影が映った。集落の人間だろうか? それだったら事情を訊ねなければと、マサキはなけなしの気力を振り絞って立ち上がった。立ち上がって、悠然とこちらに近付いて来る人影に絶望した。
「いると思いましたよ、マサキ」
「シュウ、てめえ……」
「辛そうですね、無理もない」
声を放った先から身体に快感が走る。マサキは歯を食いしばって、洩れ出そうになる声を押さえ込んだ。だのに目の前に立つ男は涼し気な表情で、マサキの身体に手を伸ばしてくるのだ。
「止めろ、触るな……」
「大丈夫ですよ、何もしません。あなたひとりでは迷ってしまうでしょう。この道は既に兵士によって封鎖されてしまっている。彼らの目に付かずに森を抜けるなら、獣道を出るしかない。ほら、マサキ」
何が起こっているのかもわからぬまま。手を取られて、本道から少し離れた獣道へ。靄《もや》にけぶる中、先をゆくシュウに続いて足を進めていたマサキは、獣道に入って暫くしたところで、再び堪えきれずに座り込んだ。
「まあ、いいでしょう。この辺りにまで彼らも入ってきはしまい。二、三時間の辛抱ですよ、マサキ。もうガスの散布は終わっています。辛いのはわかりますが我慢しなさい」
「な、にが、起こって……」
マサキの力の入らぬ身体をシュウは抱え上げると、手近な大木の根元へと運び、その幹に背中を預けさせるように座らせた。はあはあと忙しなく息を吐くマサキの額の汗が、その手によって拭われる。びく、とマサキは身体を震わせた。
こんな些細な刺激すら、身体に響く。全身が性感帯のようだ。触れられただけで情欲の炎に火が点く。
「新型兵器の実験ですよ」
「兵器、だって? これが……」
「そう、強力な催淫効果を持つガス兵器。その実験を、今、この先の集落を使って行っているところです。事前に中和剤を与えられたグループとそうでないグループの効果の差を見るためにね」
「巫山戯《ふざけ》ろ……そんなもん、作るのに協力しやがったのかよ……」
「まさか。私はこの研究所にある別のデータに用があって来たのですよ。それと実験が偶々かちあってしまったに過ぎない。それに、あなたはそんなものと云いますが、大量破壊兵器と比べれば良心的ですよ。人の命を奪う兵器ではないのですから」
恐らく、シュウがこれだけの甘い匂いの中で平然としていられるのは、中和剤を投与されているからなのだ。その事実がマサキには憎たらしくてどうしようもない。そのぐらいにマサキの身体は、自分でもままならない欲望に晒されていた。
「辛いですか、マサキ?」長い沈黙の果てにシュウが問い掛けてくる。
「当たり前だ……」
視界を覆っていたガスの靄は引きつつあったものの、それで直ぐに効果が切れる薬でないことはわかっている。残り何時間、この状態で耐えなければならないのか。マサキは呻いた。次いで身体を捩らせると、いつの間にやら隣の木の根元に腰を下ろしていたシュウに背中を向けた。
「何分、経った……?」
「私があなたと会ってから、でしたら、二十分ほどですよ。この辺りには未だガスが残っているようですし、ここから三時間ぐらいをみた方がいいでしょうね」
膨れ上がっている男性器が、服に圧迫されて苦しかった。ましてやマサキが履いているのはジーンズなのだ。伸縮率の少ない生地が男性器にきつく食い込んで堪らない。
だのに痛みよりも快感が勝る。
こうなるとそのことしか考えられなくなったものだ。マサキはシュウに気取られないように、そっとボタンを外し、ファスナーを下ろして、ウエスト周りを緩めた。そして、どうすればこの昂ぶりを、直接的な刺激なしで鎮められるのかに考えを及ばせた。
身体中が疼いてどうにもならない状況にあるとは云え、服が擦れなければどうにか耐えられそうだ。かといって服を全部脱いでしまう訳にもいかない。マサキの側にいる男は、少なくともマサキにとってはまだ敵なのだ。
「――頑固な人だ」
マサキの背後の草むらが音を立てたかと思うと、マサキとの距離を詰めたシュウの手が背中から伸びてくる。やんわりと抱き留められた身体が反応する。「やめ……触るな……っ」たったそれだけの刺激ですら、今のマサキにとっては毒なのだ。それなのに、シュウはマサキの身体を抱え込むと、さも当然とばかりにその服に手を掛けてくる。
「辛いのでしょう、マサキ?」
下手に動いただけでも身体が反応してしまうマサキは、抵抗さえもままならない。何よりこれからされることに対する誘惑が、欲望を押し殺していた心を煽ってやまなかった。ジャケット……シャツ……すんなりとまではいかなくとも呆気なく脱がされてゆく服。それが草むらに落ちるのを眺めながら、マサキはぼんやりとした頭の片隅で、これでやっと楽になれると思ってしまっていた。
この男は、敵なのに。
追いかけて、追いかけて、追いかけて。追うことを止めようかと思っては、また追いかけて。追うのをこれで最後にしようと思っては、また追いかけて。自らの挫けそうになる心を、あの凄惨な光景を思い返すことで奮い立たせながら追いかけて。そうして仕留めた筈の男だった。
再びマサキの前に姿を現してみせたこの男を追い始めて、どれだけの月日が経っただろう。肝心の追われている側たる男は、そんなマサキの追跡を意に介する様子すらないままに、不条理にもその肌に触れてみせた。それがどのくらい前のことであったのか、マサキはもう思い出せない。ただ、その行為が、自分が想像していたような苦痛に満ちたものでなかったことだけは忘れていない。
「ふふ……いつもそう素直ならいいのですけどね」
ほら、と乳首を指の腹で弾かれて、マサキは大きく腰を跳ねさせた。ああ、と声が洩れる。普段の比ではない快感。ほんの少し触れられただけなのに、余韻が身体に残る……いいの? と訊ねるシュウの言葉に、マサキは黙って俯いた。
次いで、指の腹が乳首の先端に触れたかと思うと、円を描き出す。
止まない刺激にマサキの腰が反れた。シュウの肩に頭を預けて腰を突き出しながら、続く刺激にひたすら声を殺す。声を上げてしまったら歯止めが効かなくなる。この男は敵なのだ。そうは思っても、ガスの効果が和らぐでもない。服が擦れただけでも辛かった場所を責められているのだ。堪えようにも堪え切れるものでもなく。
抓まれては擦られて、撫でられては弾かれる。その繰り返しに、数分と持たずにマサキは根を上げた。
「いく、もう、やめ……やめて、シュウ……」
シュウの手が開いたジーンズの奥、下着を下げた。マサキの露わになった男性器を目にした彼は、既に濡れそぼっている膨らみに、「もうこんなにして。出したいのでしょう、マサキ」耳元で囁きかけながら、手を戻すと再び乳首を嬲り始めた。
「無理、無理、いく……やだ、やめ」
「いいから達《い》きなさい」
結局、マサキは押し寄せる快感に抗いきれず、乳首への愛撫だけで全身を震わせながら果てた。「はあっ……はっ……」何度も腰を揺らして、溜まりに溜まった精液を放つ。そのまま十数秒。精液を吐き出しきったマサキは、それにも関わらず、男性器が鎮まっていないのに気付く。
「な、んで……俺、達《い》ったばっか……」
「云ったでしょう。効果の持続時間は二時間から三時間だと」
楽になったと感じられたのも僅かな時間。直ぐに疼き始めた自らの身体と、それを煽るように身体を撫でるシュウの手に、マサキは身体を捩ってシュウにしがみついた。この苦しさから解放されたい。そう願ってシュウの服を掻いたマサキは、次の瞬間、ジーンズを脱がされ始めたことではっと理性を取り戻す。
一度達してしまったことで、次なる快感を求めることに抵抗が薄れつつあるのだ。
敵。そう、敵なのだ。決して許してはならない敵。マサキは自らの感情を奮い立たせようと、様々にこれまでの経緯を脳裏に蘇らせた。いつだって思い出せる光景は、未だに色鮮やかなままだ。だのに何かが胸の奥に蟠《わだかま》って消えない。その蟠りがマサキの抵抗を心許ないものに変えてしまう。
「やめ、シュウ。やめ」
マサキはジーンズから足を抜かせようとするシュウの手を振り払おうとするも、上手くいかない。するりとマサキの足からジーンズと下着が脱がされたかと思うと、一糸纏わぬ姿となった身体が地に伏せさせられる。
「や……入れ、るな……」
立てさせられた膝。その双丘の合間に、熱い肉の塊が割り入ってくる。拮抗する不安と期待。けれどもそれも僅かな間。次第に押し広げられては、その塊を受け入れてゆく蕾に、ぞくり。決して自然な交配ではないとわかっていながらも、マサキは深い快感を覚えてしまっていた。
やがてゆっくりとマサキの蕾を馴染ませるように動き始めるシュウの男性器に、どうにかなりそうだ。頭の中を占めるその考えを、追い払うようにマサキは首を振る。
「ほら、マサキ。もっと奥まで受け入れて。できるでしょう? 慣れてきましたものね」
シュウの手がマサキの両の手首を取って、後ろに引いた。膝から下だけを草むらに付く形になったマサキに、深く捩じ込まれるシュウの男性器。より奥へと潜り込んでくる塊が、内臓を圧迫する。
「お、前……人がやだって云ってるのに……」
「その割には嬉しそうに飲み込んで」
マサキにはわかっていた。これが口ばかりの抵抗であることが。身体は正直だ。不自然に飲み込んでしまったものの存在を悦んでしまっている。動かれずとも跳ねてしまう腰に、ひくつく男性器。マサキはどうしようもない快感に、口唇を開いた。
そこからは息を吐く間もない。手首を掴まれて引かれたまま、奥の奥を突かれる。その都度、痺れるような快感が、つつかれている身体の奥から、全身へと広がってゆく。
さして時間を置かずにマサキは二度目の絶頂を迎えた。
そこから今度は乳首を嬲られながら、もう一度。シュウの膝の上に乗せられ、男性器を嬲られながら、更にもう一度。そしてシュウの腰の上で下から突き上げられながら、また一度。立て続けに精を放っても鎮まる気配のない欲望に、マサキは瞳を涙に滲ませた。
「この野郎、好き勝手しやがって……覚えておけよ……」
そして草むらを背に、開いた足の奥。シュウの男性器を深く受け止めながら、マサキは自らを見下ろしている紫水晶《アメジスト》の瞳を睨み据えた。
何度、達したかわからない。その中には|射精を伴う絶頂《オーガズム》もあれば、|伴わない絶頂《ドライオーガズム》もあった。どちらにせよ、全身を深い快感に貫かれたマサキは、何度も悦びに身体を震わせたものだった。その都度、シュウは自らと身体を繋げたまま、マサキの姿勢を変えさせた。時に深く膝を折らせ、時に腰を折らせ、腕を引き、或いは捻り上げ。
終わりなく続く行為は、マサキにとっては屈辱的であったけれども、その快感の消化を早めてくれたのやも知れなかった。
少しずつ、時間の経過とともに和らぐ欲望。マサキの理性が急速に取り戻されてゆく。
「殺して、やる……絶対に……お前だけは、俺の手で」
尽きぬ欲望に踊らされてしまった自分に対する悔しさを、ぶつけるように言葉を吐く。頬を伝う熱い涙。それが口ばかりの虚勢と化してしまっているのは、マサキにもわかっているのだ。やれるのであれば、とうにやっている。それだけの機会がこれまでにもあった。
それでも、通さずにいられない意地がある。
敵なのだ。ずっと追い求めた。
どうぞ、とシュウが云って、舌をマサキの口腔内へと差し入れてくる。これを噛み切るだけでいい……そうしたいのに出来ない。マサキは目を伏せると、その舌を飲み込むように自らの口の中に深く収めた。
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