苦手分野キター!!!!
本当はきちんと終わるところまで書ききったところで更新したかったんですけど、文字数が多くなり過ぎそうだったのでここまでで切ることにしました。何か中途半端ですみません。
そろそろ文字数も多くなってきたので、最初から校正をしたのですけど、これだけの文字数を使っておいて「描写が足りないな……」と思ってしまった私は何かの病気にかかっているんだと思います。いやもうハッピーワールド過ぎて、延々これ読んでられるな私、と。笑
何も起こらない非日常も、何も起こらない日常も、彼らにとってはご褒美なのだと思った次第です。
感想、拍手、有難うございます。苦手分野に突入してしまったので、筆の進みが遅くなっておりますが、そうした反応を心の励みに執筆しております。本当に助かっております。
では、本文へどうぞ!
<Lotta Love>
「いや……行きたい、けど……」
けれどもそのビーチで、自分はどう過ごせばいいのか。マサキには妙案が思い浮かばない。
仲間と過ごす時間とは違うのだ。海や砂浜で他愛なく戯れるような過ごし方を、果たして目の前のこの男が好んだものか。何かを吹っ切った様子とはいえ、長年の習性に元々の性質もある。だからこそ、シュウが一足飛びに他人が海で過ごすような時間を過ごせるとは、マサキには到底思えないまま。
「全てに付き合えるとは云いませんが、出来る限りあなたの希望には沿いますよ。少し距離はありますが、ヴィラが所有しているプライベートビーチもありますしね。何か海でしてみたいことはありますか」
「マリンスポーツがやりたいけどな。今からじゃ、予約を取るのが難しいだろ」
「なら、何なら出来るか探してみましょう」
濡れたローブもそのままに、シュウがプールを上がる。
億劫そうな様子もなくローブの裾の水を絞り、着替える為に寝室へと。引き違い窓を開いて、デッキから直接足を踏み入れていこうとするその背中にマサキは声をかけた。
「無理はしなくていいんだぜ。別に、ここでやらなきゃいけないってことでもないし」
人気の少ないプライベートビーチは、きっと地上の楽園のように映ることだろう。
とはいえ、その場にシュウ馴染めるかというとそれはまた別の問題だ。果たして彼は、自ら口にしているように、普通に海を楽しめるものなのか。マサキは懐疑的なまま、シュウの言葉を待つ。
「大丈夫ですよ、マサキ」
足を止め、マサキを振り返ったシュウが微笑む。その表情から、悩みや迷い、蟠りといった衆苦《しゅく》は最早感じられない。まるで福音を授かった聖者のようにも映る静謐なる笑みに、マサキは思いがけず言葉を失った。
目を奪われるほどに、その面差しが眩く映る。
「私が望んでいるのです。あなたと過ごすその時間をね」
そして、呆気に取られているマサキをプールに残したまま、今度こそ。シュウは微かな笑い声を洩らしながら、寝室へと姿を消した。
リビングで明日の海でのアクティビティを調べているらしいシュウを視界の端に収めつつ、プールを楽しむこと暫く。そろそろ冷え始めた身体にプールを後にしたマサキは、バスルームでゆっくりと身体を温めて、いつの間にかベッドにその居場所を変えていたシュウの隣。心地良い疲労感に包まれている自らの身体を横たえた。
リビングで明日の海でのアクティビティを調べているらしいシュウを視界の端に収めつつ、プールを楽しむこと暫く。そろそろ冷え始めた身体にプールを後にしたマサキは、バスルームでゆっくりと身体を温めて、いつの間にかベッドにその居場所を変えていたシュウの隣。心地良い疲労感に包まれている自らの身体を横たえた。
「プライベートビーチという訳には行きませんが、少し離れたビーチでマリンジェットに乗れそうですよ」
「ジェットスキーか、いいな。免許取りたいんだよな。人の後ろに乗るより、自分で運転してえ」
「取ればいいでしょうに。ここでは言葉の問題もあるでしょうが、日本やラ・ギアスでなら問題ないのでは? 年齢制限も緩い免許ですし、日数もそんなにかかないと聞きましたが」
「取らなきゃいけない免許の数がな……それだけ取って、ハイオシマイって訳にも行かねえし」
ブランケットの中に潜り込んで、そのまま。マサキはシュウと他愛ない会話を紡ぎながら、そろそろ眠りを欲している身体の欲求に任せて目を閉じる。
「寝るの、マサキ?」
ローブを濡らした男は、今日は裸で寝るつもりらしかった。うん……と、頷くマサキの身体を引き寄せながら、いつものように語りかけてくる。自分の身体を抱き留めて眠るつもりだと思ったマサキは、シュウの腕の中に身体を収めるべく身を寄せる。
直後、手首を取られたかと思うと、開かされる身体。マサキは重い瞼をうっすらと開いて、端近にあるシュウの顔を見た。薄く口元に浮かぶ笑みに、微かに熱を孕んだ瞳。何度も目にしたその表情が、何を求めているのかは明瞭だった。
「何だよ……寝るって……」
「昨日は何もしなかったことを拗ねていたのに」
そうっと耳介を食みながら、マサキの身体の上に圧し掛かってきたシュウが、その身体に纏わり付いているローブを剥ぎにかかった。「お前……疲れてないのかよ……」腕から抜かれるローブの袖に、儚い試みだと思いながら、マサキは口先ばかりでの抵抗を続けるも、それで引くような男でないのはわかりきっている。
「あなたほどには。プールで長く戯れた訳でもありませんし」
「俺が疲れてると思ってるなら、寝かせろよ」
「少しも付き合えないほどの疲れでもないでしょう」
云いながら身体を弄り始めた手に、そろそろと這い上がってくる情欲の炎。覚えている快感を身体が求めているのだ――。まだ眠気の覚めきらないぼんやりとした思考の中、本能的にマサキはシュウの背に腕を回していた。
「何でしたら、寝てくださっても構いませんよ。私は好きにします」
「巫山戯ろよ。お前、俺を何だと思っていやがるんだよ……ダッチワイフじゃあるまいし……」
「日頃、見られないものを見ていると思うとね。止められなくなる」
云っても引かない男に、抵抗を続けられない自分。どうして、などという疑問を抱いたりすることはもうない。きっと、ボルトとナットようなものなのだ。上手く嵌まるまでには手間取ることもあれど、嵌まってしまいさえすれば容易には抜けなくなる。ある時、不意に思い浮かんだ自分たちの関係を表現する例えが、今またマサキの脳裏に過ぎる。
――そう、一度嵌まってしまえば、容易には抜けない……。
長くなるだろう夜に焦がれる身体が、静かに鳴き始める。マサキは待っていたのだ。シュウと顔を合わせて、籐の長椅子で向かい合わせになって身体を寄せ合ったあの瞬間から、ずっと。ふたりの身体と心が嵌まり合う瞬間を、ずっと。
「……目が、覚めそうだ」
「それは何より」
耳を舐るシュウの舌が愛撫を仕掛ける手の動きに呼応するように、時折。眦《まなじり》に、頬に、そして首筋に触れてはマサキの肌を吸う。その都度、マサキは身体を震わせた。ああ……と、息を詰めては声を洩らし、そして喉に溜まった息を吐き出す。
途切れ途切れに浮かんで来る思考。この温もりに自分が癒されていると気付いたのはいつだっただろう……ふとした瞬間に、思い出しては欲しくて堪らなくなる。だのに顔を合わせることすらなく過ぎていった日々。互いに不在だった期間を埋めるように、マサキはシュウを求めて、背中に回した腕に力を込めた。
ふふ、と頬近くの空気が震えた。直後に、口唇に感じる熱。それが自分のものなのか、それともシュウのものなのか、マサキにはわからない。ただ合わさった口唇に、熱情に浮かされるがまま。互いに吐息を絡ませ合う。
この瞬間に去来する感情を、どう表現したらいいのか。指の先から、つま先まで。溶けて、蕩けて、流れ出てしまいそうになるほどに湧き上がってくる想い。それが何であるのか、マサキにはわからないけれども。
――離したくない。
口付けの終わり際を悟っては、強請るように舌を這わせ、また深く口唇を合わせにゆく。そうして口の中にシュウの舌を収めては、繰り返し、繰り返し。肌を這う手のひらが与える愛撫に、身体を震わせながらマサキはシュウの口唇を貪った。
「起きたようですね、マサキ」
口付けの終わり。悪戯めいたシュウの言葉にマサキはうっすらと目を開いて、小さく頷いた。覚めきった身体と心に霞がかかっているのは、欲望がその立場を取って代わったから。決して性急にことを進めないシュウのゆっくりと時間をかけて繰り返される愛撫に、いつしかマサキの瞼を重くしていた眠気は消え去ってしまっていた。
「少しは私を愉しませてくれる気になりましたか」
「なったよ。なったから、もっと……」
「もっと?」
「好きにしていい、って云ってるんだよ」
なら、とひと言だけ言葉を吐いたシュウが、マサキの熱を帯びた身体に舌を付けてくる。瞼からこめかみと、滑り始めた舌先が耳元から首筋へ。時に口唇を使って愛撫を仕掛けてきては、肌を伝って鎖骨から胸部へと。戻ってはまた下りてくる。やがて、なだらかに隆起する胸部を上った舌先が、乳頭を捉える。
直後、あ、とマサキは声を上げて仰け反った。
胸に顔を伏せて舌を這わせているシュウの髪に手探りで指を立て、あらぬ方向に向けた視線の先にある壁を凝っと見詰める。滲む、視界。濡れた舌先に舐られては、自らの意思に関係なく腰が浮いては跳ねる。どこをどうされれば自分が反応してしまうのかを、マサキはとうに把握している筈だのに、その都度、まるで初めて与えられた快感のように身体は反応してみせたものだ。
「いい鳴き声ですよ、マサキ」
マサキの腕を取ったシュウが、その指先を食む。指の付け根からゆっくりと、指先に向けて人差し指を舐《ねぶ》られたマサキは、そのささやかな刺激にさえも身体が反応してしまうのを抑えきれない。まさかそんなところが、と思うような場所に潜んでいる快感を、長い付き合いで把握しきったのだろう。指の谷間、腰の付け根、内腿に膝の裏……立て続けにそれらをシュウに責められたマサキの息は乱れに乱れた。ああ、ああ、ああ! 左右に捩れる身体。ままならないそれをどうにかしてベッドに沈め、そしてまた次の愛撫に捩れ、何度も何度も。喘ぎ声を宙に舞わせては、マサキは身悶え続けた。
――終わりが欲しい。
絶え間のない快感に身体を攫われながら、マサキはやだと声を上げた。膨らみきった男性器の中で、今にも溢れ出でしまいそうな欲望が渦巻いている。達《い》くの? と、顔を上げたシュウに問いかけられたマサキは、幾度か首を縦に振って、そろそろと双丘の奥を探り始めた指先に、そっちじゃない、と声を上げた。
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