まだ観光に辿り着けてないよ!何故!?と思ったんですけど、私がふたりの関係をこの機会にと詳しく描写しようとしているからですね!あと隙あらばべたべたさせたいので!(欲望)
そんな私の欲望が詰まりに詰まっているからか、なんと驚くことなかれ!本日わたくし書いた文字数が五千字を突破しました!三十路以来の一日のアベレージですよ!
何だ、やりたいことをやりたいだけ突っ込めば出来るじゃん私!などと思ったり思わなかったりしながら、でもその内1500字は次々回の更新分なんだよなあ……というオチですすみません!ということで今日は裏側ばかり話しつつ本文に向かいたいと思います!
あ、精霊憑依サイバスターとネオグランゾンのアクスタを手に入れました!
今の私は超幸せモードです!
と、いうことで、本文へどうぞ!(今回は比較的真面目回です)
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と、いうことで、本文へどうぞ!(今回は比較的真面目回です)
<Lotta Love>
だからシュウはああ云ったのだ。日常と非日常を連続したものにしたくないと。
たったひとりの白河愁、或いはクリストフ=グラン=マクソードとして、自分を知らない他人の中で生活をする。その為には日常との関りを一時的とはいえ捨てなければならなかった。シュウがサフィーネたちを拒むような真似をしてみせたのは、彼女らが存在する生活が日常だから。そう、それは何処であろうと、シュウにとっては日常なのだ。
そう考えると、マサキの存在はシュウにとっては、非日常的なものであるのだろう。
気紛れに顔を合わせて、日常から隔絶された空間で、日常にない時間を過ごす相手。ささやかな非日常を共有してきた相手だからこそ、今、ここでバカンスを過ごしている男は、マサキの存在を受け入れた……。
テレビを点けっ放しに、灯火器《ランプ》台の上。マサキは手を伸ばして、昨日読み終えることの出来なかった本を取り上げた。
余りある時間は、人を物思いに耽らせがちになる。この機会とばかりに日頃考えることを放棄していた様々な問題に思いを馳せてもよかったが、折角のバカンスを湿っぽいものにしてしまいたくはない。可能性のひとつとはいえ、自分なりの答えは得たのだ。マサキは本の頁を捲って、昨日の続きを読み始める。
テレビの音をBGMに読み耽ること三十分ほど。わからないところを飛ばして読んでいることもあってか、それなりに厚みのあるその本をマサキは読み終えてしまった。
敷地内のどこにランドリーサービスがあるのかわからないマサキには、シュウの戻りがどのくらいになるか予想が付かない状態だ。さて、どうしたものか。そこまで遅くなるような用事で出て行った訳ではないとわかってはいても、言葉の通じない異国のヴィラにひとりきり。ふと気が緩むと不安を感じ始める己の心を鎮める為に、マサキは次の娯楽を求めた。
シュウのことだ。持ち込んでいる本はこれ一冊だけではあるまい。
限られた範囲ではあったが理解が及んだことが、マサキに自信を付けさせた。今ならもしかするとタイトルからして理解が及ばなかった本も読めるかも知れない……マサキは次の本を求めて立ち上がった。
家具の少ないヴィラでは探せる場所も限られている。あるとしたらクローゼットの中、ぐらいか。マサキはクローゼットの前に立ち、その中を覗いた。半開きになっているクローゼットの奥に、ひっそりと置かれているシュウのボストンバッグ。開けていいものか躊躇したものの、どうせ自分がサイバスターに積んでいるディバッグと似たような中身だろう。当座の着替えに、洗面具。きっとその程度のもの。そう思ったマサキはやけに重いバッグを取り出して、その口を開いた。
衣服や洗面具の上に何冊もの本が積まれているボストンバッグの中身に、ほらな、とマサキは口元が緩むのを止められなかった。
他に娯楽を知らない男だ。古典音楽《クラッシック》や絵画といった芸術作品には造詣が深そうではあったが、気紛れに移り変わる流行りには決して迎合しようとしない。唯一、流行り廃りに敏感なのが学術的な問題。新しい知識を収集せずにはいられないのだ。そういった問題には驚くほどの嗅覚と鋭敏さを発揮してみせる。
「しっかし、相変わらず小難しい本ばかり読んでいやがる」
マサキは一冊の日本語で記された本を取り上げた。『制御概論』とだけ書かれたシンプルなタイトルの本は、シュウが収集している知識の傾向からして、恐らくは機械制御について書かれたものであるに違いない。その自らの予想を確かめる為に、マサキは頁をぱらぱらと捲ってみる。
難解な用語に見知らぬ数式が、始まりから終わりまで隙間なく詰め込まれている。こうした理屈を用いて魔装機なども制御されているのだろうか? 気になったマサキはその場に腰を下ろして、どこかには見知った用語があるだろうと本文を流し読みしながら、シュウの戻りを待つことにした。
「流石にそれはあなたには難しいでしょう」
わからないならわからないなりに論旨だけでも理解したくなる。意地になって読み込んでいたからか。シュウが戻って来たことも気付かずにいたようだ。唐突に頭上から降って来た声にマサキはびくりと身体を震わせて、わかってはいても驚かずにいられなかった声の主を見上げた。
「何が書いてあるかさっぱりだ」
「大学数学と情報処理の知識が必要ですからね。もし何でしたら、観光に出るついでに本屋にでも寄りましょうか。何処かには日本語で書かれた本も置いてあるでしょう」
「そこまでして読みたいとも思えないんだよな」
マサキは本をボストンバッグに仕舞う。そしてそのまま、中身を弄った訳でもなしと口を閉め、クローゼットの奥へと収めた。
「そうでしょうか。昨日は随分と楽しんでいたようですし、暇潰しの道具も必要でしょう」
「お前はお前、俺は俺で違う本を読むっていうのは、何か違う気がする」
結局、何が何だかさっぱりだった本をマサキが読みたいと望んでしまったのは、それがシュウの持ち物であったからなのだ。
どういった世界を目に映し、どういった世界に生きているのかを、その嗜好から少しでも知りたいというささやかな好奇心。単細胞と云われがちなマサキにとって、シュウは巨大な集積回路を積んだスパコンのような存在だ。
きっと自分との付き合いは、相当にシュウに無理をさせていることだろう。だというのに、彼はマサキ=アンドーという人間に拘りを抱いている。そう、それはマサキ本人ですら理解しかねるまでの熱量で。
だからマサキは、その理由を知りたいと望んでしまうのだ。常に冷静さを欠くことがないシュウが、自分のこととなると理性を失う瞬間がある。その理由を何故と問い掛けても曖昧に言葉を濁されるからこそ、彼の本心が何処にあるのかを知りたいと。
「かといって、私の蔵書に書かれている内容を理解する為には、先ず基礎知識を得ないことには始まりませんよ」
「お前がつきっきりで教えてくれるっていうならやってもいいけどな。でもひとりでそこまでして内容を理解したいかって云われるとそうじゃない。そもそも全部を知れるとも思わないしな。だから、俺は多分、お前がどんな世界を見ているのかを垣間見たいだけで、その内容そのものはどうでも良くて……」
マサキ、と続く言葉に被せて、シュウが名前を呼ぶ。
それと同時に手を掴まれ、その腕の中へと引き寄せられる。シュウ、とマサキは顔を上げた。
突然の抱擁の意味を尋ねるより先に、塞がれる口唇。いつしか明るさを増していた室内の窓には、昇りゆく太陽が映り込んでいた。その窓から差し込む光が、シュウの表情を色濃く映し出す。
何を思ってシュウがマサキを抱き寄せたのかはわからなかったが、その表情を見る限り、気分を害してのことではなさそうだ。
何を思ってシュウがマサキを抱き寄せたのかはわからなかったが、その表情を見る限り、気分を害してのことではなさそうだ。
そうして、少しの間。自分に向けられている穏やかな眼差しを眺めていたマサキの開いたままの瞳が、シュウには無粋だとでも感じられたのだろう。そう間を置かずに口唇が剥がされたかと思うと、彼はマサキの瞼に口唇を落としながら、「目を閉じて」と云った。
酒にもたれた胃には軽めの食事がいい。そんなことを考えたらしいシュウがバトラーに頼んだのは、バリ式の粥であるブブールだった。
酒にもたれた胃には軽めの食事がいい。そんなことを考えたらしいシュウがバトラーに頼んだのは、バリ式の粥であるブブールだった。
キッチンに入り、慣れた手付きで朝食の支度を進めるバトラー――彼はとても穏やかな雰囲気の南国人だった――と、拙《つたな》い英語で意思疎通を図りながら、まるでそれを一種のショーのように見守ったマサキは、籐製のリビングセットのテーブルの上に彼が残していった朝食を取るべく、シュウと共にその席に着いた。
白い陶器の中で手緩く米が形を残している粥の上には、甘辛く煮付けられた鶏の挽肉にセロリの葉のみじん切り、加えてバリの玉葱であるらしいバワン・ゴレンを揚げたもの。そして、まさかこんなものが付け合わせになるとは想像も付かない揚げパンを細かく千切ったものが乗っている。
「お粥って云う割には味が強そうな付け合わせだな」
「病人食というよりは滋養強壮なのかも知れませんね」
「それに、揚げパンを乗せるっていう発想は日本人にはないしな」
「案外美味しいものですよ。屋台などでも食べられるポピュラーな食べ物ですしね。こうした日常的な食べ物もいいでしょう」
「旅行で地元の食べ物を口にしないで帰るってのも味気ないしな。これは混ぜた方がいいのか」
「あなたの好きにどうぞ。好きに食べるものですよ、食事というものは」
そろそろと太陽の光を乱反射させるプールを眼前に、シュウと今日の予定を話し合いながら、バリの粥を口に含む。どこかでこんな食べ物を口にしたことがあるような気がする。セロリと玉葱の苦みと鶏肉の甘み、そして揚げパンの柔らかい口どけが混じり合った粥の味は、異国の食べ物でありながら懐かしさを感じさせるものだった。
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