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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

RISKY GAME(5)
らぶらぶ無理ー!TωT

私が頑張ろうとすればするほどラブラブから遠のいていくんですけど、うちのふたりは何なの? 盛りの付いた猫なの? そんな気分の内容です、はい。
おかしいですね。私はラブラブモードをやろうとしていた筈なんですけど……。でも、云い訳じゃないですけど、シュウマサってツーカーで話しているところだけで、「この野郎、ラブラブしやがって!」って思ったりするところありません? 私はもうそれだけで、「結婚しろよ!」とか思っちゃう性質なんですけど。笑

と、いうことで本文へどうぞ!
<RISKY GAME>

 まさに間一髪。刃先がその喉元を捉える直前、シュウの手がマサキの手首を掴む。
「ご挨拶ですね」
「声ぐらい出せよ。敵かと思っただろ」
「あまり人目に付きたい状態ではないもので」
 警戒しているのはシュウも同様ということか。云うと手首を掴んでいる力を緩める。
 マサキは即座に手を引っ込めると、短刀を鞘に戻した。その間に自らの居場所を決めたらしい。シュウはさも当然とばかりにベッドに腰を下ろすと、居場所を奪われて身の置き場がなくなったマサキを見上げ、
「良く武器を持ち込めましたね」
「身を守れる武器なしで任務に挑むのはな。俺はさておき、テュッティは肉弾戦は苦手だろ。現地調達でもいいが、船の中で作れる武器には限りがあるしな。だから持ち込めりゃ御の字ぐらいの気持ちで腿に巻いておいたんだが。何でかチェックを擦り抜けちまった」
「金属探知機でのチェックを擦り抜けるとは僥倖ですね。カジノ客によるトラブルを防ぐ為でしょう。この船は武器の持ち込みを禁じているだけでなく、魔術も発動出来ないように各所に術式が施されています。私も何か武器を持ち込んでみるべきでしたね。咒霊符は効果が出ませんでしたし」
「楽をしたがるからだ」
 平時ならともかく、任務の最中。個室のベッドで隣に座るのも気が引ける。仕方なしにマサキはテーブルセットの椅子を引いた。それがシュウには気に入らなかったようだ。話を続けながらもマサキを招くように手を広げ、「スマートではない戦い方が気に入らないだけですよ。ほら、マサキ」
「悪かったな。戦い方が泥臭くて」
「あなたにはそうした戦い方も良く似合う」
 その姿を思い起こしたのだろう。
 シュウはふと表情を和らげると、マサキを目の前にしながらも、どこか遠い場所を見ているような眼差しになった。誇らしげながらも羨望の入り混じった瞳。自分のことながらも、そんな表情をさせる存在がシュウにあるのだと思うと、マサキの胸は僅かに痛む。
「剣術と魔術以外の戦い方の知識は私にはありませんしね。肉弾戦の知識がない私が、あなたのように戦ってみても見苦しいだけでしょう。今から学ぶにしても、そこまでの時間は割けませんし」
「お前だったら直ぐに習得出来るだろ」
 それにシュウは答えなかった。
 マサキはシュウの前に立つと、その腿に腰を下ろした。見た目よりも厚い胸に背中を預けると、早速とばかりに髪や頬を撫で始める手。その心地良い温もりに身を預けながら、「何だよもう、お前は……」マサキは場違いにも自らに欲情しているらしいシュウを責めるように言葉を吐く。
「勝てるとわかっている勝負で負けなければならないのは、思ったよりも心理的負荷《ストレス》が溜まるものですね」
「俺はストレス解消の道具じゃねえぞ」
「こうして触られるのは嫌?」囁くように耳元に降る声に、「嫌じゃないけどさ……」
 ふと、ロックを掛け忘れたドアのことが気になった。
 マサキは一度シュウから離れるべきか悩んだものの、他に誰かが入って来るとしてもテュッティのみ。几帳面な彼女は必ずドアをノックするだろう。彼女以外の闖入者があったとしたら、それは敵の確率が高い。シュウもそこまで気を緩めたりはしないに違いない。ふたりがかりなら排除も容易な筈だ。
 念の為にドアに隙間が開いてないか確認する。ぴったりと閉ざされたドアに、ならいいか。マサキは身体の緊張を解いた。
「場所が場所だしな。敵地のど真ん中にいるんじゃないかと思うと落ち着かない」
「考え方の違いですね。私はこうしている方が落ち着きますよ」
 やんわりとマサキの腰を抱いていた手が、首筋へと上がってくる。少しずつ、欲望の核心に迫ってくる愛撫。マサキは首を傾け、シュウの肩に頭を預けた。少しの間、シュウは無言でマサキの首筋を指先で辿っていた。
「そんなにストレスが溜まってるのかよ」
 そこから耳へと動いた手が、耳にかかる髪が掻き上げる。露わになった耳朶にシュウの口唇が触れてくる。腰に痺れるような疼きが走る。ぴくり、とマサキは身体を震わせた。
「勝負事ですからね。どうせなら勝ちたくなるでしょう」
「まあな。俺もスロットにチップを投入するだけの作業には飽きた」
 そういうことですよ、と云ったシュウの手がマサキの上着の裾を捲し上げ、服の中へと。肌に忍んで来る手が、そろそろと硬さを増し始めている乳首を捉える。いっそう強い快感を覚えたマサキは、あ、と声を上げて顔を伏せ、「してもいい?」と問いかけてくるシュウにゆっくりと頷いて――……。

 指先での愛撫で高められた身体が、熱を帯びている。
 口唇を掠める吐息の湿った温もりも気にならないほどに、その腿の上。マサキは周囲に気を払う余裕さえ無くした状態でシュウに身体を委ねていた。
「も……やだ。シュウ、早く……」
 ロックのかかっていないドアはもう気にならない。
 シュウとの行為に没頭するマサキの脳裏から、一切の雑念が消える。船が水を掻く音……機関室の動力が唸る音……壁を伝ってしんしんと、室内に響いてくる雑音《ノイズ》。抑え気味の息遣いがその合間を縫うように、マサキの耳を濡らした。
 ひとつ満たされれば次、それが満たされればまた次と、より深い場所に下りてゆく欲望。それは指先での愛撫が終われば舌先、舌先での愛撫が終われば挿入と、次なる段階《ステップ》をマサキに求めさせたものだ。
「もう挿《い》れて欲しいの、マサキ」揶揄うようなシュウの言葉にマサキは頷く。「まだほんの少しばかり弄られただけでしょうに」
「もう充分だって……っ。そんなにされたら、達《い》く」
「このまま達《い》ってもらっても構いませんよ。私はその瞬間のあなたの顔を見たい」
「やだ……って、云ってるだろ」
 それでしか満たされない餓えを低俗だと、人間より高位の存在はしたり顔で断じてみせたものだ。肉体を捨てた彼らには、肉欲に囚われる人間は矮小な存在に映るらしい。それでも、マサキはその瞬間を求めずにいられない。世界に自分とシュウしかいないような錯覚に囚われるあの瞬間。性行為とはそういうものでもあるのだ。肉体的な繋がりと同時に精神的な繋がりを得る……。
 欲しくて堪らない。
 もどかしさに何度か自ら動こうとしたマサキをシュウは腰を抱えた手で封じて、しつこくも乳首を嬲り続けた。きっと、相当にストレスが溜まっているのだ。シュウが一方的にマサキを責め立てる時は、そういった感情的な蟠りを抱えていることが多い。わかってはいても、我慢には限界がある。マサキは力任せにシュウの手を解いた。
「堪え性のない」
 苦笑しきりでシュウはマサキの手を取るとベッドに引き倒し、既に上気しきった身体から衣服を剥ぎ取っていった。額に、耳に、頬に、口唇に何度も口付けながら、肌に張り付く衣装を一枚一枚……。そうして、全ての衣服を脱がせ終わったシュウは、静かな笑みを浮かべたまま。マサキの両脚を抱え込んだ。


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