よーし@kyoさん調子に乗って一人称にチャレンジしちゃうぞ^^
<セックス・オン・ザ・ベッド>
俺が同性同士のセックスに慣れを感じるようになっていったのは、月並みだけれども、あいつに対する愛情ってヤツなんだろうと思う。
最初は抵抗しかなかった。
それもそうだろう。出すことにしか使っていなかったところを挿入《いれ》ることに使うんだ。怖いなんてもんじゃない。でも、何でだろうな。あいつが俺に抱かれているところがどうしても想像出来なくて、でもセックスはしたくてで、結局はそこを使うことに合意しちまった。
抵抗があったのはそれだけじゃない。
乳首だってそうだ。
舐められたり、抓まれたり、吸われたりするのに、俺は抵抗があった。だってそうだろ。女性は子どもに乳をやる。全ての女性が――なんてことは云わねえけど、舐められる為に作られている器官なことに違いはない。それに対して男はどうだ? 何の名残で残っているのかわからないが、使い道のない器官。シャツを着てるときなんか、擦れて邪魔で仕方がない。
でも、実際にあいつにそうされてみると、何でだろうな。気持ちいいって感じちまったんだ。
マサキって、俺の名前を呼びながら、甘えるように胸に顔を埋めて、俺の乳首を吸っているあいつの姿が想像出来るか? 俺は実際にこの目でみるまで想像出来なかった。その姿を初めて目にしたときは軽い失望感もあったよ。ああ、こいつも結局は性に溺れるただの男なんだってな。
でもな、同時に、その姿に優越感を感じちまったんだ。
いつもすかした顔をして、他人なんか足元にも及ばないって態度をしていやがるあいつが、俺の乳首を愛おし気に舐めてくるんだ。気持ちいいですか。なんて聞きながらさ。そんな顔、俺の他に誰が見られるんだよって思ったら、ああ、こいつとの性行為って案外悪いもんじゃねえなって……。
勿論、気持ち良くなかったら続けられないさ。
触れられる前はどんな風に感じるんだろうって怖かったが、実際に触れられてみると案外気持ちいいもんだよな。なんか、こう擽ったいっていうか、ツンとした感触がするっていうか、じんわりと気持ち良さが広がってゆくっていうか。それが快感だってことに気付いたのは、あいつと何回かセックスをしてからなんだけどさ。
それに、あいつとセックスをするようになって気付いたんだが、性感帯って乳首や男性器に限らないんだな。耳に、首筋。脇の下とか、脇腹なんてのもそう。臍の窪みとか内股なんてもう、あーもうさっさと男性器に触れてくれよってくらいに焦れる。でも、気持ちいいんだよ。触られてない筈の男性器が勃起して、先走った汁を垂らすぐらいにはさ。
足の指を舐められるとか最高だよな。
あいつ、俺にシャワーを浴びさせずにセックスするの、抵抗がないみたいなんだ。浴びさせろって云っても構わず服を脱がせやがる。最初は凄い抵抗したけど、感覚が麻痺しちまったんだろうな。最近はそれでもいいかって思うようになっちまった。
だけど、それがいいんだよ。
洗ってない足に口付けてくるときのあいつの陶然とした表情。普段は潔癖なあいつが、汗で蒸れた俺の足を幸福そうに舐め回してくる。気持ちいいのは勿論だけど、それ以上に、そこまで俺のことが好きなんだって感じさせられる。
アナルだってそうだ。
ゆっくりとほぐすように舌で舐め回されるの、俺は嫌いじゃない。
出したいって気持ちにもなったりするけど、単純に気持ちいいんだよな。あいつ、舌を使うのが上手くてさ、場所に合わせて舐め方を変えてきたりするんだよ。乳首は軽めに舌を動かすとか、脇の下はじっとり舌を這わせてくるとか。で、アナルはじっくり舐りたいんだろうな。時々、舌を中に挿入《いれ》てきたりされるんだけどさ、これがもう本当に気持ちが良くて、そのままイっちまうんじゃないかってぐらいに感じちまうんだよ。
その後に、指を挿入《いれ》られてさ、駄目押しみたいに前立腺を刺激されると、触られてない筈の男性器がどろどろに濡れちまって。そんなに気持ちいいですか。って尋ねられたりすることもあるけど、そりゃ気持ち良くなきゃそうはならないだろ。答えるの恥ずかしいから、俺はいつも喘ぎ声で誤魔化してしまうんだけどさ。
男性器を挿入されるの、最初は辛かったな。
気持ちいい、気持ち良くないって話じゃないんだ。その頃は前立腺もそこまで開発されていなかったし、気持ち良くない――と、いうより、何も感じない方が普通だろ。でも、終わったあとなんだよ。終わったあとが堪らなく痛い。翌日なんてもっとで、動く度に擦れて痛かったぐらいだ。
でもそれも、回数を重ねたら慣れたよ。
後々、前立腺の開発を進められたこともあって、アナルだけで感じられるようになったのも大きい。腸内にあいつの男性器が挿入《はい》ってくるだろ。そうすると前立腺が圧迫されるんだよ。その感覚が堪らなくてさ。案外、男の身体も男に抱かれるように出来てるもんだなって、思ったりな。
最初の内は男性器を触られないと射精出来なかったけど、何回目だったかな。アナルだけでイっちまってさ……あの時のあいつの顔は忘れられないな。やっと獲物を仕留めた猟師みたいな顔をしてたんだよ。きっと、俺があの瞬間、ようやく自分のものになったって思ったんだろうな。結局、朝まで寝かせてもらえなかったよ、あの日は。って、この話、愉しいのか? 聞いてて。
※ ※ ※
酔った勢いで聞かれるまま話をしちまったが、どうやら話をし過ぎてしまったようだ。夜を迎えて賑わう酒場のカウンター席で、俺の隣に座っているヤンロンが渋い表情を晒している。
「愉しかったら問題だな。僕まで違う世界の扉を開いてしまうだろう」
「だよなあ。酒も進んでねえみたいだし」
魔装機神操者の中では群を抜く堅物だ。俺の明け透けな打ち明け話にさぞや頭を痛めているのだろう。ヤンロンが手にしているグラスの中身は殆どといっていいほど減っていない。
「お前、どれだけ自分の世界に浸ってるんだ。僕は三杯目だぞ」
聞いて驚く。
どうやら俺が話すことに熱中している間に、ヤンロンはどんどん杯を重ねていってしまっていたようだ。同じ酒を飲んでいるから気付かなかったのだろう。などと云いながら、グラスに残っている酒を一気に煽った。
「まあ、いい。お前も話をしたかったのだろう」
「まあ、そりゃあな」
男同士の酒の席では、偶には明け透けなワイ談なんてものが始まってしまうこともある。でも、シュウと肉体関係を持っちまってる俺は、その中には素直には入れない。そのフラストレーションが溜まってたんだろう。聞かれてもいないことまでヤンロンに話をしてしまったのは。
「なら、気が済むまで話すんだな。僕がこうしてお前の話を聞くことなど滅多にないことだ」
「お前も云うよなあ、本当に」
俺はヤンロンの肩に腕を回した。
「なら、今晩はじっくり聞いてもらおうじゃねえか」
ヤンロンの酒臭い息を嗅ぎながら云う。
「俺があいつをどれだけ好きで、あいつかどれだけ俺を好きかを――さ」
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