これにてテリマサ終幕にございます!
疲れの所為か、何書いてるのか自分でもわからなくなってきたので、明日辺り加筆修正をするかも知れません。楽しいリクエストを有難うございました!
疲れの所為か、何書いてるのか自分でもわからなくなってきたので、明日辺り加筆修正をするかも知れません。楽しいリクエストを有難うございました!
<すき。>
うっすらと汗が浮かんだ肌をマサキと重ね合い、頬にかかる彼の荒ぐ息の温みに目を細める。
快感の名残で意識が揺らいでしまっているのようだ。とろんとしたマサキの瞳があらぬ方向を向いている。焦点が合っていない。焦ったテリウスはその身体をしっかりと抱え込んだ。
力の抜けきった身体がすっぽりと腕に収まる。
射精後の倦怠感に見舞われているマサキは、魔装機神の操者として栄誉を欲しいがままとするラングランの戦神とは思えぬほどに無防備だ。とてつもなく無垢で、とてつもなく頼りない。まるで赤子のようにも映るマサキの姿を誰が想像出来ようか。
それを招いたのは、他でもないテリウス自身だ。
堪らない。
愉悦にテリウスが浸ったその刹那、テリウスの股間がじくりと疼いた。そっとマサキの顔を窺う。彼のボトルグリーンの瞳は力を取り戻しつつあった。
|挿入《いれ》ていい? テリウスはマサキに尋ねた。
射精のタイミングを失った男性器が、熱情のぶつけ先を求めて猛っている。とはいえ、思考を働かせるのも難儀な状態のマサキに無体を働きたくはない。そう思ってのことだったが、要らぬ問いであったようだ。野暮なことを、と云いたげな瞳がテリウスを向く。
「……次はお前の番だろ」
しどけなさは相変わらずであったが、虚脱状態からは脱しつつあるようだ。するりと腕を絡ませてきたマサキが、独り言のように言葉を継ぐ。
嗚呼、マサキ。テリウスは喘いだ。彼のいじらしいまでの優しさに感情が爆発する。
「いいの? まだ疲れてない?」
テリウスも男だ。射精後の倦怠感がどれだけのものかは知っている。
泥の中に沈んでいるかのように重くなる手足。動くのは元より、息をするのでさえ億劫になる。だのにマサキは、まだ射精を済ませていないテリウスの為にと頷いてみせるのだ――……。
テリウスは性急にマサキの口唇を塞いだ。塞ぎながら彼の脚を開いた。そして、小さく口を窄めている彼の|菊座《アナル》を指で探った。しっとりと濡れた秘所が刺激を受けて、ひくり――とうねる。
舌を絡め合いながら、その奥へと指を埋めてゆく。
指先で腸壁を辿れば、ややあって指先が膨らみを探り当てた。しこりにも似た器官は前立腺だ。ゆるゆると擦ってやると、快感を覚えたようだ。ぴく、とマサキの肩が跳ねた。
テリウスはもう片方の手でマサキの男性器を包んだ。
前立腺を愛撫されるのにも、大分慣れたようだ。テリウスの手の内で徐々に力を取り戻してゆくマサキの男性器。手のひらに感じる熱が彼の気分の高まりを伝えてくる。ん、ん……マサキ自身も興奮を抑えきれなくなったようだ。重なった口唇の合間から喘ぎ声が洩れ出てくる。
「……|挿入《いれ》るよ、マサキ」
口唇を離して囁くと、マサキが頷いた。
「お前の番だって……云った……」
テリウスはマサキの身体を抱き寄せた。そうして開いた脚の中央にある彼の後孔の中へと、自らの男性器を埋めていった。
途端に感じる圧迫感。肉の壁が陰茎に迫ってくる。ああ、いい。男性器を腸壁で包まれたテリウスは、声を上げながら腰を振った。亀頭で前立腺を擦るようにして男性器を抜き差しする――と、強い快感に浚われたようだ。あ、あ。と、目を細めたマサキが甘い声を放つ。
――あ、ん。あっ、あっ……
だらしなく開いた口の端から、収まりきらない涎が溢れている。それが愛おしさをより増す。テリウスはマサキの身体を抱く手に力を込めて、ひたすらに腰を振った。
「いいよ、マサキ。本当に気持ちいい」
テリウスの気持ちは天を舞っていた。
「ああっ、ああっ。いい、いいよ、マサキ」
その想いのままに声を上げる。
幾度抱いても飽きない身体。恋しい相手と繋がっている。その感動はテリウスに自らの想いの深さを自覚させた。
「ああ、ああ、マサキ……」
ラングランの風の香りがする髪の下で、日頃は逞しさを感じさせる顔が淫らに緩んでいる。テリウスにしがみついてくる彼の腕は思いがけず柔らかい。男性器を包み込む熟れた肉の壁のしなやかさは云うに及ばずだ。
抱いた回数の分、新鮮な発見がある。
それもこれもマサキの譲歩があってこそ――テリウスは我が身を襲った幸運に感謝した。始まりの頃と比べれば、何と遠くにきたことか。自分の努力が形となったマサキのこの表情。それを間近にしながらテリウスは腰を振り続けた。あ、あ、テリウス。テリウスの名を呼んだマサキが、堪えきれなさそうに首を振っている。
熱い吐息が宙を舞い、汗が雫となって滴り落ちる。次第に極限を迎えてゆくテリウスの男性器。差し迫った欲望が、テリウスの感情を更に爆発させた。ああ、マサキ。好きだよ。好きだ。テリウスはマサキの後孔の奥にその先端を潜り込ませた。
そうして、幾度も、幾度も、抜き差しを繰り返した。
引けば萎み、押せば開く。呼吸をするようにテリウスの男性器を飲み込んでゆくマサキの菊座。その柔らかさがテリウスを没頭させる。
「はあ……っ、出る。マサキ、好きだよ。はあ、ああ。マサキ、マサキ……」
いよいよ射精が迫っている。テリウスは腰の動きを早めながら、ありったけの想いを口にした。好きだよ。好き。大好き。瞬間、目の前でわなないてるマサキの口唇が言葉をかたどった。けれども自分のことで必死なテリウスの耳にはその言葉は入ってこない。目の奥から飛び出してくる火花。快感の渦に飲み込まれてゆく。直後、ぼやけた視界が白んだかと思うと、脳が弾け散った。
――ああっ、あ……っ!
テリウスはぐいと腰を突き出した。後孔を押し広げた亀頭がその最奥で、震えながら精液を吐き出してゆく。あ、あ、ああっ……! 二度、三度と腰を揺らしたテリウスは、果てしない脱力感に襲われるがまま。ぐったりとマサキの上に折り重なっていった。
※ ※ ※
「……お前さ、|達《い》く時に俺の名前を呼ぶのと、好きだって喚くの、何とか出来ないのかよ」
※ ※ ※
「……お前さ、|達《い》く時に俺の名前を呼ぶのと、好きだって喚くの、何とか出来ないのかよ」
射精の余韻から覚めたマサキが、テリウスの腕の中で顔を上げて口にした。とはいえ、彼が不満に感じている理由に心当たりはない。色艶やかなボトルグリーンの髪を梳いてやりながら、何かマズいことあった? テリウスはマサキに尋ねた。
「俺の言葉が聞こえてねえじゃないか」
どうやらマサキは、テリウスとほぼ同時に達したらしかった。
射精の直前にテリウスが見たマサキの表情――口唇をわななかせて何事か云っている顔は、差し迫った状況にあることを告げているものであったようだ。イクって云ってんのに、滅茶苦茶に突きやがって。拗ねた目をして口唇を尖らせたマサキに、そんなことかあ。テリウスは笑った。
「気持ちが満ちると言葉になるって云ったよ、マサキ」
「俺はわかってるって云ってるんだけどな」
「君はそう云うけど、本当にわかってるの?」
テリウスは首を捻った。
いい加減な面が目立つこともあるにせよ、道義に徹する風の魔装機神の操者である。与えられた使命に実直に向き合い続けているマサキが、いつまでもだらしなく、テリウスとの曖昧な関係を続けてゆくとは思えない。何よりテリウスとマサキの付き合いは、行き着くところまで行き着いてしまっていた。お試しのデート、お試しの手繋ぎ、お試しのキス、お試しのセックス……この先にテリウスを待ち受けているのは、マサキからの答え。本番に進むか別れるか、或いは現状維持かの三択だ。
「わかってなきゃ、お前に付き合うかよ」
「そうじゃなくて……」
テリウスはその先を口にするのを躊躇った。
狡くて欲張りな己が心の奥から顔を出している。その悪魔の囁きに従って、お試しの名の下に関係を持ち続けた。
どれだけ位の高い生まれであろうとも、聖人君子にはなれないのだ。ましてや下野したテリウスに、どれだけの尊厳が残っていたものか。恋は我儘になった方が勝つ。市井の人間の振る舞いを目にしたテリウスが学んだのは、その鉄則だ。
だからこそ、テリウスはわかっていた。これがいつかは醒める夢であることを。
戦場で瞬時の判断を迫られることが多いだけあって、マサキの倫理観は確かなものだ。どれだけの厚遇を約束されようとも、利欲に流されることがない。徹底した愛他主義者。そんな彼が、いつまでお試しの関係に甘えるだろうか?
今のマサキは、覚えたばかりの快楽に溺れているだけ。何を考えて自分に付き合っているのかわからないマサキの行動原理をそう分析したテリウスは、だからこそ、マサキに現実を直視させかねない台詞を口に出せずにいた。
「何だよ。|明瞭《はっき》りしねえな。こんなことまで覚え込ませたの、お前だぞ」
だのにマサキは容赦しないのだ。
真っ直ぐな眼差しがテリウスを貫いている。深い緑を湛えた双眸は、あどけなささえも感じさせる純粋さを湛えていた。
ぞくりと背筋が震える。これこそが、テリウスが恋したマサキ=アンドー。何者にも染まらない無垢な魂を持つ青年の真髄だ。
「君、僕が君を好きだってわかってる?」
「わかってるから、そう云ってるんだがな」
他人の心の機微に疎いマサキには、直接的に物を云わねば真意が伝わらない。だからテリウスは腹を括った。恋する男に相応しい人間でいたい。だったら、問題を先送りするような真似はもう止めるべきだ――そう思いながら言葉を継ぐ。
「本当に、わかってる?」
テリウスはマサキを抱き寄せていた手を、その両頬へと滑らせていった。すっぽりと収まる小顔。とうにしどけなさを失った瞳が、不思議なものを見るようにテリウスを見詰めている。
「その割には、いつまでもお試し期間から抜け出そうとしないけど?」
瞬間、マサキの瞳が丸くなった。
ば、馬鹿かお前。と言葉を発したマサキの鳩が豆鉄砲を食らったような顔。右に、左に。視線が彷徨う。嘘だろ。そこから一秒。たっぷりと言葉を失ったマサキが、正気を取り戻したのか。さっと表情を変える。
「その割には、いつまでもお試し期間から抜け出そうとしないけど?」
瞬間、マサキの瞳が丸くなった。
ば、馬鹿かお前。と言葉を発したマサキの鳩が豆鉄砲を食らったような顔。右に、左に。視線が彷徨う。嘘だろ。そこから一秒。たっぷりと言葉を失ったマサキが、正気を取り戻したのか。さっと表情を変える。
「お前、だから云ったじゃねえか。好きだ好きだ云い過ぎだって」
テリウスは大いに途惑った。
マサキが何を理由に自分を責めているのかが理解出来ない。お試しのデート、お試しの手繋ぎ、お試しのキス、お試しのセックス。確かにどれにしても持ちかけたのはテリウスだ。だが、それらを抵抗せず受け入れてきたのはマサキの方であったのに。
「それと君の話にどんな関係があるの、マサキ」
「さっきに限らず、俺の言葉をちゃんと聞いてねえってことだろ」
マサキの顔に嫌気がありありと浮かぶ。
腹を立てているのは間違いない。だが、何故? むすっ――と、口をへの字に曲げたマサキの顔を間近に、テリウスは考え込んだ。だが、焦っているからか何も思い浮かばない。
沈黙が続く。
気まずい時間に根を上げたのはマサキだった。お試しは一回だけだって云っただろ。吐き捨てるように口にした彼が、もういい。と、テリウスの腕を擦り抜けてゆく。
けれどもベッドから出る気はないようだ。足元に溜まったブランケットを手繰り寄せると、その中にすっぽりと包まる。
寝る。と枕に頭を沈めたマサキを視界の端に、テリウスは今しがた彼が発した言葉を胸の内で反芻した。お試しは一回? 予想だにしなかった展開に上手く頭が働かない。落ち着かねば。テリウスはこれまでのマサキとの会話の記憶を、急いで脳裏に蘇らせた。
――お試しセックスは一回だけ。
そのマサキの台詞に行き当たった瞬間のテリウスの衝撃! まさかと思いながらも、ベッドから飛び起きる。
――お試しセックスは一回だけ。
そのマサキの台詞に行き当たった瞬間のテリウスの衝撃! まさかと思いながらも、ベッドから飛び起きる。
一回だけ、ということは、二度目以降の性行為は、マサキにとってはお試しではなかったということだ。
手にした真実に胸が震える。本当に? テリウスは自らの頬をつねった。当然のように感じる痛みに悦びが湧き上がってくる。マサキ。テリウスは彼の名を呼んだ。背中を向けて横になっている彼からの返事はない。
「ねえ、マサキ」
テリウスは背後からマサキを抱き締めた。
意外にもすんなりと腕の中に収まったマサキに、そういうことだと思っていいの? 囁くように問いかければ、ブランケットを被ったままこくりと頷き返してくる。
「好きだよ。マサキ」
「お前、本当に俺の話を聞いてないのな」
呆れた風なマサキの声。けれども今のテリウスにとっては、その程度のことは些細な問題だった。
手に入れたかったものは、とうに自分のものだったのだ――テリウスはマサキ肩を引き寄せて、その身体を自分に向かせた。続けて彼の顔を覆っているブランケットを除けてやる。と、思いがけず穏やかな表情が現れた。
「仕方ないよね、好きなんだから」
「知ってる」
屈託のない笑顔は、マサキなりの答えであるのだろう。
「だからあんまり云い過ぎるなよ。もう、こんな変な行き違いは御免だからな」
穏やかな眼差しが、衒うことなくテリウスを捉えている。
新緑の季節を想起させるボトルグリーン。そこに彼の自分への想いを見て取ったテリウスは、溢れ出る愛しさの導きに従って、その頬へと口唇を寄せていった。
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