忍者ブログ

あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

きっと、そういうこと
私はシュウマサで剃毛プレイをしたかったんですよ!

でもよくよく考えてみたら、男性は女性と違って性器がアンダーヘアーで覆われていないじゃないですか!ということで敗北案件です。それでも良ければお読みください。では早速、本文へどうぞ!


画像はサンプル&スマホ用の記事画像です。
<きっと、そういうこと>

 珍しく日常生活の雑事を消化することに意欲を見せているシュウを視界の端に、ソファに座って雑誌を読んでいた。
 シュウがサフィーネたちに押し付けられたというファッション雑誌は、ある意味似たような恰好を常としているシュウに対する彼女らなりの配慮でもあったのだろう。どれだけ暑かろうが寒かろうが首周りを隠し、しかもその上から上着を羽織ってみせる。正装、或いは正装に準ずる恰好を常とする男に、偶にはくだけた恰好をして欲しかったのやも知れない。少ないアイテムでオールシーズン過ごせる着回し術、などといった特集が組まれた雑誌の数々は、セレクトショップ発らしいそれらのアイテムの値段に目を瞑れば、着たきり雀なマサキでも充分に着てみたいと思わせるファッションが揃っていた。
 ソファの脇にそこそこ積まれたその雑誌を、三冊目。マサキが膝に乗せて読み始めた矢先だった。
 洗濯物を干し終えて掃除を始めたシュウが、さして時間も経たない内にマサキとその名を呼んだ。何だよ、と雑誌から顔を上げる。何度口を酸っぱくして云っても、掃除の鉄則である上から順にを守れない男は、今日も今日とて床から掃除を始めているようだ。先に家具に積もった埃を払ってからだって、あれほど云ったのにお前は。マサキがそう云えば、その話は後だと、床を転がしていた粘着シートをマサキに見せてきた。
 髪の毛や細かい埃やゴミが付着している粘着シートを渡されて、感想を求められている由もない。まさか大の大人が掃除が出来たことを褒めて欲しいもないだろう。何だよ、とマサキが困惑しつつ、目の前に立つシュウを見上げれば、あなたが来ると必ず落ちているのですよ――と、シートの一部を指差してみせた。
 縮れた毛。
 またかよ、とマサキは眉を顰めた。下着を履いていようがいまいがお構いなしに床に落ちるアンダーヘアー。奴らは実に気ままに抜け落ちているのか、思いがけないところからも姿を現してみせる。それがシュウには気に入らないらしい。機会があれば不衛生だと云われては、処理をするよう迫られる。別に髪の毛と同じものだろうとマサキは思うものだが、シュウに取って両者は別のものであるようだ。いい加減、処理をしませんか。何度目か思い出せない台詞が溜息とともに吐き出される。
「サロンに何度か通わなければならない手間はありますが、その後の処理は段違いに楽になります。生えてくるとしても大した量にもなりません。かかる費用は私が出します。ですからいい加減に処理を」
「やらないって云ってるだろ」
「不衛生だと云っているのですよ。蒸れれば雑菌の温床ですよ。かぶれたり出来物が出来易くもなる。百害あって一利もないアンダーヘアーに、あなたがそこまで拘る意味が私にはわかりませんね。掃除の際にも家の端々から出て来ますし。しかも床の上ならまだ理解が及ぶものの、何故か棚の中に潜んでいたりする」
「そりゃあそうだし、お前の云うことも尤もなんだけどよ」
 既にアンダーヘアーの処理を済ませているシュウの陰部を思い浮かべて、はあ、とマサキは大仰に溜息を吐いてみせた。蒸れと無縁そうであるアンダーヘアーの存在しない陰部は、確かに快適そうではある。
 でもマサキは嫌なのだ。
 子供から大人になるに連れて量を増やしていったアンダーヘアー。それはマサキからすれば大人の象徴だ。面倒を掛けることも多いものの、ない状態など考えられない。その程度にはアンダーヘアーの生えそろっている陰部にマサキは思い入れがある。まだ両親が生きていた頃、父と一緒に入った風呂。その脇や股間を見ては、大人になるということはそういうことであるのだと思ったものだ。髭を剃る父親の姿など、どれだけ頼もしく映ったことだろう。
 子供というのは単純な生き物だ。見た目の印象を強く意識してしまう。マサキは自分がその仲間となれたのが嬉しいのだ。髭を剃るようになり、脇や股間に毛が生え揃い、子供から大人へと成長を続ける自らの身体。その変化を嫌がる人間もいるにはいるが、少なくともマサキは大人の男性の象徴として各所に生えるている体毛に愛着がある。
「お前みたいに完全に脱毛するのは嫌なんだよ。多少短くする分にはいいけど」
「でしたらもっと端的な話をしましょう。舐める時に口に入ってくるのが邪魔ですし、正直なところ嫌で仕方がない」
「何の話をしてるんだよ!」
 突然に話題が性的なものにまで及んだものだから、マサキとしては驚かずにいられなく。
「しかし事実ですしね。まあ、完全脱毛をするのには抵抗があるという意見ぐらいは聞き入れてもいいでしょう。剃ってあなたの肌が剃刀負けを起こしたりするのを見るのは嫌ですが、ある状態よりは余程いい。一度剃ってしまえばその後の処理は楽ですよ。どうですか、マサキ。アンダーヘアーを処理する気になりましたか」
 性事情にまで話が及んでしまっては、マサキとしてもどこまでかは妥協をしなければならない気がしてしまう。シュウに無理をさせてまで舐めて欲しいとは思えなかったし、かといって全く触れられずというのもそれはそれで寂しいものがある。何よりマサキはシュウのように、アンダーヘアーが口の中に入るという経験をしていないのだ。
 負い目を感じたマサキは、わかったよ、やりゃあいいんだろ。捨て鉢気味にそう口にする。態度には問題があったものの、長く口にし続けた要望をマサキが聞き入れる決心をしてくれたことが嬉しかったのか、シュウがこれ以上となく極上の笑みを浮かべてみせる。
「なら今晩は、一緒にバスに入りませんか。あなたに任せきりでは剃り残しもあるでしょうし、私が手伝いますよ」
「別にそのくらい、俺ひとりでも出来るって」
「どうでしょうかね。案外、難しいものですよ。自分できちんと綺麗に処理をするというのは」
 そのシュウの矢鱈と絡んでくる態度に、もしかしてこいつ――と、マサキは嫌な考えが脳裏を掠めたりもしたのだが、よくよく考えてみれば、既に話は明け透けにも、|性行為《セックス》事情にまで及んでしまっている。今更だった。そう思いながらも、気は重い。男性の大事な|象徴《シンボル》のひとつを失ってしまうことに対する焦燥感。こいつが買い物に出た隙に、|自慰《オナ二-》でもするかな。マサキは暫しの別れとなる自らのアンダーヘアーに、しみじみとそんなことを思ったりもした。

※ ※ ※

 確かに掃除の際など、邪魔は邪魔ではある。ベッドの上、シーツに散らばっている自慰の際に抜け落ちたアンダーヘアーを拾い集めたマサキは、食事と風呂の準備を済ませてシュウの帰宅を待った。何でも探し求めていた本が入荷したとの連絡があったらしい。意気揚々と古書店に向かったシュウの買い物が長引くことを、マサキは大いに期待したりもしていたのだが、結局のところそう都合よく話が進むこともなく。目的の本だけを入手して帰宅したシュウは、既に風呂の準備が済んでいるのを見て、沸かし直したりするのも手間だからと、マサキに入浴を先に済ませることを提案してきた。
 などと理由付けをしてはいるものの、目的は自らの手でマサキのアンダーヘアーの処理を済ませることにあるに違いないのだ。マサキには理解が及ばないが、シュウ=シラカワという男は、時に妙なことに愉しみを見出すことがある。だからこそマサキは嫌な予感を感じずにいられなかったのだ。恐らくシュウは、マサキのアンダーヘアーを自らが処理をするシチュエーションに持ち込めたことに、喜びを感じているのではないのかと。
「……やっぱ嫌《や》だ」
 洗い場に入り、じゃれ合うようにして互いの身体を洗い、泡もそのままに四つ足のバスチェアに座るように促してきたシュウに云われて座りながら待つこと暫し。眉を処理する用のハサミと剃刀を手にバスルームに戻って来たシュウに、今更ながらマサキは反意を唱えた。
「前言を翻すのはあなたの悪い癖ですよ、マサキ」
「そうは云われてもな。全くなくしちまうっていうのは……不衛生だって云うなら、きちんと清潔を保てばいいんだろ。今ならデリケートゾーン用の石鹸だってあるし。口に入っちまう問題だって、短くすれば防げるだろ」
「それでは抜け落ちた毛の掃除の手間の問題が解決しませんね」
「髪の毛と同じじゃねえかよ。何でおまえそこまで全部剃ることに拘る――」
 ほら、とシュウの手がマサキの膝にかかる。嫌だ。マサキが云えば、足を開きなさい。と命令口調でマサキに促してくる。嫌だ。マサキは膝を固く閉じた。納得がいかない。短くするだけでいいように思えるものを、何故全部剃らなければならないのか。答えを避ける辺り、それは大いにシュウの嗜好を反映しているだけの可能性が高いのだ。
 しかしこうと決めたら譲らない男は、マサキが根負けするまでこの遣り取りを続ける続けるつもりなようだ。開かないなら開かせますよ。云うと、マサキの乳首に指先を押し当ててきた。馬鹿、何を考えて。ゆっくりと指の腹で乳首を撫でられたマサキは、喉を鳴らした。どういうつもりだよ。続けて耳を舐られたマサキの膝が緩む。
「こういうつもりですよ。続きをしたいのであれば、膝を開くのですね、マサキ」
 そうして愛撫を繰り返されること暫し。じんわりと身体に染み出してくる快感に、性行為《セックス》に対する欲望が生じる。霞みがかる脳。たったそれだけの愛撫で終わらされることが耐え難く感じられるまでに、シュウの愛撫に慣らされた身体。性行為《セックス》がしたい。あの硬くて熱いシュウの昂ぶりを、腹の中に収めたい。
 その欲望にマサキは打ち勝てなかった。アンダーヘアーの有無に拘るなど馬鹿らしい。マサキは続きをねだるように膝を開いた。眼前のシュウの顔が悠然と、けれども明らかな笑顔に変てゆくのを、マサキは特に思うこともなく見詰めていた。
「この遣り方はあまり良くなかったかも知れないですね」
 熱を持ち始めているマサキの男性器が、そのアンダーヘアーを隠してしまっている。まあ、いいでしょう。マサキの男性器を掴んで扱き始めたシュウは、ほら、達《い》って。と、まだそこまで感情が高まっていないマサキを揶揄うように囁きかけてきた。
「無理だって……」
「なら少しどけておいてもらえますか。少しの手間で済みますから」
 掴まされた男性器を僅かに倒して、そういった意味で手入れをしたことのないアンダーヘアーを晒す。そこにハサミが入った瞬間、僅かばかり引き返せないことに胸が疼きはしたものの、合間々々にマサキの身体を撫でては刺激を与えてくるシュウにマサキは流されてゆく。
 その先にある行為に期待を寄せてしまう気持ちが、マサキを従順にさせた。短くカットされてゆくアンダーヘアーに、まだ。と、聞けば、小さく声を上げてシュウが笑う。嫌ではなかったの? 尋ねられたマサキは小さく頷いて、でも、もうどうでもいい。シュウの口唇に口唇を重ねていった。
 やがて骨ばったシュウの指が、バスチェアーの直ぐ上で入り口を窄ませている菊座を開く。こんなに物欲しそうにして。入り込んでくる指が、そうっと。マサキが感じ易い部分に刺激を与え始めた。これではアンダーヘアーの処理どころではない。それはシュウも同様だったようだ。先にあなた自身の処理を済ませましょうか、マサキ。云うとシュウはマサキの身体を立ち上がらせて、腕を首に絡ませるように求めるとマサキの膝を抱え込み、最早受け入れるのを待つだけとなった菊座の中へ、自らの男性器を押し込んできた。

 ※ ※ ※

 だからといって、中途半端に物事を終わらせるような男でもない。その後に、精液の流れ出る菊座もそのままに、アンダーヘアーの処理を終えられたマサキは、やけに涼しさを感じる下腹部を寂しく感じながらも、髭と同じようなものだと嘯《うそぶ》くシュウの言葉に、妙な納得感を得ずにいられなかった。
 つまりは一度処理をしてしまったが最後。手入れを続けなければ、どこかで邪魔に感じる時がくる。特に生えかけの胡麻塩の状態が一番厄介だ。髭の手入れを怠った時のあのざらざらとした感触が、下腹部にまで生じるなんて冗談じゃない。マサキは面倒臭がり屋ではあったが、男としての身だしなみぐらいは日々続けられるだけの衛生観念は持っているのだ。
 公共のトイレなどでは多少気まずい思いをすることになるだろうが、どうせ困るといってもその程度。処理が面倒になったらいつでもお金を出しますよ。というシュウの言葉に、それも悪くないかもな。と永久脱毛まで考え始めた頃。急所、魔装機の面々で温泉に慰安と洒落込むことになったマサキは、そこで散々な目に合うことになるのだが、その騒動を後にマサキから聞かされたシュウは、それでも自説を曲げようとはしないまま。かくて今日もマサキのデリケートゾーンは、シュウに云わせれば衛生的な存在を保っているのである。


.
PR

コメント