忍者ブログ

あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

夢の頂(2-中)
いっぱい拍手を有難うございます!
ひとことコメにも感謝しております!

マサキにシュウへの好意を睡眠学習で植え付けようというシリーズ。(いつの間に?)お坊ちゃまと執事編の第二回です。どうやったらそういったことが出来るのかについては気にしない!

だってただエロですから!
脳を空っぽにして楽しむのです!

リクエストはまだまだ受け付けております。これが見たいというものをお寄せいただけると、私が一生懸命頭を悩ませながらマサキを懐柔できそうなネタに昇華しますので宜しくお願いします!
.



<夢の頂>

 昼寝から目を覚ましたマサキは自室に備え付けの浴室でシャワーを浴び、下の食堂にて夕食を済ませると、再び自室に戻って明日が提出期限となっているレポートの作成に取り掛かった。
 以前は大量にいた家庭教師たちも今はもういない。気に障れば即刻クビを云い渡す。家庭教師の解雇を繰り返すマサキに、「でしたら私が必要に応じて教えましょう」と、困り果てたマサキの父親を目の前にして、執事となった彼は云っ放ってくれたものだった。
 あまり身を入れて勉学に励んでいないマサキにとっては、たった数枚のレポート作成さえも難度が高く感じられる。二週間もの猶予があったにも関わらず、気付けば明日が提出期限。それでも優秀な頭脳を誇る彼の手伝いもあって、どうにか体裁の整ったレポートが完成した。
「いずれは御父上の後を継いで資産管理や運用を行う立場になるのですから、このぐらいのレポートはひとりで完成させられるようになっていただきたいものですね」
 行きたくもなかった経済学部。けれども他にしたいこともない。父親の勧めるがままの進路を往くマサキを、彼はどう感じているのだろう。マサキの父親に恩義を感じている彼のことだ。マサキが跡を継いだ暁には、父親とともにそのまま一線を引きかねない。
「お前がやれよ」
「御冗談を。執事の役目は主人のサポート。役目を取り違えられては困ります」
 レポートの最終確認を終えたようだ。恭しくマサキにレポートを差し出してくる彼からそれを引っ手繰ったマサキは、そういった態度は感心しないと口にした彼のネクタイを掴んだ。そして身を屈めた彼に口付ける。
 冷えた温もりが物寂しい。
 彼は何を思ってあの夜にマサキを犯したのだろう。この部屋で、マサキの手首を縛り上げて、ベッドの上で。幾度となくマサキを犯した彼は、使用人たちが活動を始める明け方近くまで、マサキの身体から離れることはなかった。
 今となってはその答えを聞くのが怖い。マサキは彼の舌に舌を絡めながら、いつしか自ら求めてくることなくなった彼の思惑へと考えを及ばせていった。少なくとも彼は、マサキが彼を頼りにしているほど、マサキのことを大事に思ってはいないようだ。命ぜられれば粛々と従ってみせるものの、だからといって毒を吐くことを止めはしない。それはマサキのことを考えて口にしているというよりは、彼自身が自身の境遇に感じている感情の発露であるのだろう……。
「どうして欲しいのです」
「もう夜だぞ。続きをしろよ」
 マサキの言葉に彼は曖昧な笑みを浮かべてみせた。
 まだ彼が執事となる前のある夜。彼が酷く酔ってマサキの部屋を訪れたことがあった。学びたいことを学べる他の学生が羨ましい。酒の匂いを漂わせながらマサキに心境を吐き出した彼は、マサキの小さかった肩に顔を埋めて声を殺して泣いた。
 彼自身は他に進みたい道があったのだ。
 その道を諦めてしまった理由は、恐らくはマサキの父親にある。それがマサキの父親の求めに応じてのことだったのか、それとも彼自身がこの家に必要だと思って選んだ道であったのかはわからない。マサキの父親の援助を受けて大学に通い続けた彼は、その事実を恩であると強く感じているようではあったけれども、だからといって、優秀な秘書を側に置いている父親に今更他のサポート役など必要はなかったのだ。それでも彼がわざわざ執事という道を選んだからには、それ相応の理由や背景があったに違いない。
「ここで、ですか?」
 マサキは空惚けた様子でいる彼の首に腕を絡ませた。抱っこ。と口にすれば、何処に運べばいいのです。との返事。マサキは彼にソファに自分を運ぶように求めた。テレビや姿見を前にするヴィクトリアン調のソファセット。マサキを抱き抱えたままそこに腰を落とした彼の腕から抜け出して、向かい合わせになるように膝の上に乗る。
「子どもの頃ならいざ知らず、今となってはあなたを抱き上げるのは骨ですね」
「余計な口をきいてるんじゃねえよ」マサキは彼が着込んでいるスーツへと手を伸ばした。
 ジャケットとベストを脱がせ、背もたれに掛ける。次いでネクタイへと手を伸ばしたところで、やんわりと手を剥がされた。
「欲しいのなら自分が先に脱ぐのですね、|マ《・》|サ《・》|キ《・》」
 思えばマサキは、彼が肌を露わにするのをまともに目にしたことがない。夏場の暑い盛りにマサキをプールや海に連れて行ってくれた時もそうだった。自身はきっちりと服を着込んでプールサイドや浜辺で、ひとり遊び暮れるマサキの姿を眺めているだけ。付き合えと云っても、その命令だけは聞けないと頑なに固辞する。それは彼の身体に残っている数々の傷痕の所為であるらしかった。
 彼がマサキを犯したあの夜に、開いたシャツの隙間から微かに見えた幾つかの傷痕。それについてマサキが尋ねると、彼は言葉を濁した。きっと深い事情の許で付いた傷であるのだろう。だからマサキはその傷痕について知ろうとすることを止めた。傷のあるなしで彼の価値が変わる訳ではない。彼は過去から現在に至るまで、マサキの我儘を逃げ出すことなく受け止めてくれるたった一人の人間だ。
 マサキは服を脱いだ。
 シャツにズボン、靴下に下着。一枚、また一枚と脱いではソファの背もたれに掛けてゆく。それを彼は口元に笑みを湛えながらも、ただ黙って眺めていた。謹厳実直な執事としての顔とはまた異なる、余裕に満ちた表情。そう、彼はマサキが逃げ出さなかったばかりか、自ら性行為をねだってみせるようになったことで、自身の立場に絶対の自信を誇るようになったのだ。
 澄ました顔が憎らしくてどうしようもない。さりとて、彼を手放すことが出来ないマサキに何が出来ただろう。例えそこに好意が存在していなくとも、彼の温もりを感じていたい。マサキは父親を除いてたったひとり、自身の側に在り続けた彼を雁字搦めになるまでに想っている。
「そちらを向いて、座りなさい」
 服を脱ぎ終えたマサキは彼の言葉に従って、姿見の方を向いた。背中に感じる彼の温もり。腰に回された手がマサキを抱き寄せてくる。そうして耳に触れてくる彼の口唇。濡れた舌がマサキの耳を舐り始める。
 びくりと身体を揺らしたマサキの肌を彼の手が伝ってゆく。腹から鳩尾、そして胸。薄い胸板を撫で回していた掌が、やがて勃ち上がった乳首を捉えた。あ、あ。彼に乳首を抓まれたマサキは声を上げた。緩く擦られる度にじくりと男性器が疼く。
「早く、挿《い》れろよ……」
 そのまま、捕らえた獲物をいたぶるように延々と、飽くることなく愛撫を続ける彼に、やがて我慢の糸を切らしたマサキは声を上げた。触れられるだに心地良い。けれども、物足りない。マサキは彼の指先が編み出す緩い快感よりも、彼と繋がることで得られるこの身を浚うような快感を求めているのだ。
「あなたは拙速過ぎる」
「いいから早くしろ。いつから待ってたと思って」
「朝からでしょう」彼はしらと云ってのけた。「あの人が家を空けた瞬間から、ずうっとチャンスを窺っていたのですよね。今日、どこにも寄らずに帰ってきたのも、私と|性行為《セックス》がしたかったから。あなたの考えぐらいお見通しですよ、マサキ」
 その通りだ。マサキは口唇を噛んだ。
 朝方、会合へと出かけて行った父親を見送ってから、マサキは彼とふたりきりになれる瞬間を待ち望んでいた。家にいたところでマサキに構うような父親ではなかったものの、ひとつ屋根の下で性行為に及んでいるという後ろめたさは抜けない。それにいつ気紛れを起こさないとも限らないのがマサキの父親なのだ。彼は思い付いてしまったからという理由だけで、寝酒に付き合えとマサキを呼び立てるぐらいは平気でする。
 だからこそ、父親の不在はマサキにとってこれ以上とない好機だった。これで気兼ねなく彼との性行為に没頭出来る……。大学の講義の内容など微塵も頭に入らなかった日中。今日ほど家に帰るのが楽しみにだった日もない。帰路の車中の中で彼に触れたくなる衝動を、どれだけマサキは抑えるのに苦労をしたことか! だのにそうした感情の動きを、当事者である彼自身に見透かされてしまっていた事実。羞恥で顔が赤く染まる。口惜しくて仕方がない。
「腰を上げなさい」マサキはそろりと腰を上げた。「堪え性のないあなたには、こうした扱いが良く似合う。自分で挿《い》れるのですよ、マサキ」
 肩を引かれながら、ゆっくりと腰を沈めてゆく。ややあって彼の男性器と思しき肉の塊が閉じた蕾に押し当たる。
 瞬間、ぐいと肩を掴まれた。蕾にかかる圧。僅かに腰を浮かせた彼が、男性器を押し込んでくる。口を開いた蕾がその先端を飲み込んだ。続きは自分でどうぞ。彼の言葉に促されるようにしてマサキは腰を落とした。菊座の中にずるりと挿入《はい》り込んでくる男性器が、徐々にその圧を強くする――……。
 クックと、彼の腿の上に腰を落としきったマサキの耳元に嗤い声が降ってくる。ほら、と彼はマサキの足を背後から抱えて大きく開かせると、姿見の方へと身体を向けた。
 臀部の合間に突き立つ彼の男性器。それをマサキの菊座が深く飲み込んでいるのが、幅広の鏡の向こう側に映っている。
 羞恥を感じたマサキは咄嗟に顔を背けるも、彼はそうしたマサキの姿にこそ悦びを感じる人間であるのだ。彼は片手でマサキの顎を掴むと、力任せに姿見に顔を向けさせながら、この程度では物足りないのでしょう。と、ソファ脇に置かれているサイドチェストに手を伸ばしていった。
 一番上の引き出し。鍵がかかる仕様でありながら、マサキが敢えて鍵をかけずにいるそこには、彼がマサキに与えたあるアイテムが眠っている。シリコン製の粒が数珠繋ぎになった尿道プラグ。掃除の度に使用人たちが目にしているだろうそれを彼は取り出してみせると、躊躇うことなくマサキの男性器へと埋めていった。
 ――アッ、アッ、アアッ……!
 少し押し込んでは、また少し。その都度、びりびりと痺れるような快感がマサキの男性器に走る。それは彼と繋がっている蕾の裏側から生み出されては、亀頭の先まで。淀むことなく突き抜けていった。
 少量の透明な汁が、差し込まれた尿道プラグの隙間から吐き出される。
 脳内に開く花咲ける世界。ああっ、ああっ。腰に快感が溜まってゆく。あっ、あっ、ああっ。マサキはつま先を突っ張らせた。やがて、その全てがマサキの男性器に嵌まる。彼はすっかり力の抜けたマサキの足を大きく開かせると、そのこめかみに口を付けてきながら、尿道プラグを嵌められたことで過敏になっている腰に響く低い声で囁きかけてきた。
「ちゃんと目を向けなさい、マサキ」
 マサキはそろそろと目を開いた。彼の男性器を菊座に咥え込む自身の姿。天を高く仰いでいる男性器の先端からは、尿道プラグに繋がるリングが垂れ下がっている。はあ、あっ、ああっ。不意に菊座の奥を小刻みに叩かれたマサキは声を上げた。
 姿見の向こう側にあるマサキの顔がだらしなく歪む。
 潤んだ瞳に、開ききった口唇。ずるずると彼の男性器が抽迭を繰り返す度に、歓喜に満ちた声が喉から迸る。それを冷酷なまでに平静を保った表情で背後より眺めている彼は、ややあって、マサキの腰を抱えるとマサキと繋がったままソファより立ち上がった。
「わかりましたか。これがあなた」取られた腕が後ろに引かれる。「卑しい執事との性行為に溺れるあなたの姿ですよ、マサキ」
 その言葉は、マサキに対する嗜虐性の発露というよりも、自身に対する自虐であるようにマサキには思えてならなかった。


.
PR

コメント