なんていうか、そのごめんなさい。
ほんのちょっと面白いなって思って書き始めたんですが、変態性が増しただけだこれー?
そんな話です。いや、このシチュエーションはそうなるやろ……って皆様思ってましたよね?
ほんのちょっと面白いなって思って書き始めたんですが、変態性が増しただけだこれー?
そんな話です。いや、このシチュエーションはそうなるやろ……って皆様思ってましたよね?
<安藤正樹の飼育日記>
(一)
ベッドにマサキの身体を寝かせたシュウは、どことなく落ち着かない様子でいる彼の顎の下へと手を滑り込ませた。
ベッドにマサキの身体を寝かせたシュウは、どことなく落ち着かない様子でいる彼の顎の下へと手を滑り込ませた。
ぴくりと頬を震わせたマサキの目が瞑られる。期待はしていたようだ。大人しく身を任せるつもりであるらしいマサキに、シュウはおもむろに顎の下を撫でてやった。
本来、猫にとっての耳や尻尾というものは、触られるのを避けたい部位である。特にしなやかな動きをみせる尻尾の造りはデリケートで、先端に至るまで神経が通っているほどだ。そこを触れられてあの反応だったのだ。猫が喜ぶ部位を触られた彼がどういった反応をみせるのか、シュウはそれを確かめたくなった。
口唇をきつく閉じて、何かを堪えているような彼の表情。うっすらと頬が上気している辺り、シュウの愛撫は相応の快感を彼与えているようだ。
よくよく様子を窺ってみれば、身体の両脇に置かれた手がシーツをきつく握り締めている。
なら、と、シュウは指先でマサキの顎の下を擽った。それで我慢ならなくなったようだ。ひゃあっ。と、その口元から驚きとも喘ぎ声とも取れない声が飛び出してくる。
「馬鹿……お前……ちゃんと、調べろ、よ――」
口ではそう云うが、力任せに抵抗をしようとは考えていないようだ。されているがままでいるマサキに、そうですね。シュウは頷いて、顎から鎖骨、鎖骨から腹と、彼の身体のラインに沿って手を滑らせていった。
腹を撫でてやる。
猫に限らず、獣にとって腹を撫でさせるという行為は服従を意味する。それを理解しているのかはわからない。ただうっすらと開かれたマサキの瞳は、シュウの位置からでもわかるほどに濡れそぼり、彼がシュウの愛撫に一定の快感を覚えているらしいことを伝えていた。
シュウはマサキの身体を横に返した。そして、ベッドに上がり、背後から彼に寄り添うように身体を横たえた。
ひゃっ。と、今またマサキの口から声が上がる。シャツを捲られた彼は、直接腹部に触れてきたシュウの手に、少なからず驚きを感じたようだ。口唇を固く引き絞ると、シーツに顔を埋めてゆく。
――ん、ん……
自分らしくない声を、これ以上聞かせたくないのだろう。シュウが手を動かす度に聞こえてくるくぐもった声。腹を撫でられているだけだというのに、敏感なことだ――必死になって声を堪えているマサキの姿に、シュウの心がさんざめく。腹でさえこの感度だ。一般的に性感帯と呼ばれる箇所に触れられようものなら、彼は一体どうなってしまうことか。
シュウはマサキのシャツの裾を、更に引き上げた。
噛んで。人間としての器官である方の耳に口唇を近付けて囁きかけると、あ。という短い叫び声とともに、びくんとその腰が跳ねた。ほら、マサキ。シュウは開いたマサキの口にシャツの裾を押し込んだ。
きっと、声を消したいのだ。
素直にシャツの裾を噛んだマサキに、シュウは今またゆるりと手のひらを彼の胸に滑らせていった。二度、三度。さわりと撫で回してやると、どうやら乳首に当たるのが堪えるらしく、びくん。と、またマサキの腰が跳ねる。
「ここはどうです、マサキ」
「――――ッ……」
指を立て、軽く乳首を揉んでやれば、相当の快感であったらしい。反射的に顎を仰け反らせたマサキが、やっと抵抗する気になったのだろう。シャツの袖を咥えたまま、シュウの手首を掴んでくる。
けれどもその手には、思ったほどの力はなかった。
快感が身体の力を奪っているのだ。マサキの状態を察したシュウは、じっくりと乳首に愛撫を加えていった。
抓み上げて軽く揉んでやっては指の腹で撫で、更に指を浮かせては草を掠める風のようにふわりと摩ってやる。んん、ん。必死になってシャツを噛んで声を殺すマサキに、悪心は止め処ない。シュウは視線を猫化している方の耳に向けた。ぴくぴくと小刻みに震えているそこに、気持ちがいいのでしょう? シュウは息を吹きかけてやりながら尋ねた。
「や、あ……っ」
吐き出されたシャツの裾が、マサキの乳首の上で踊っているシュウの手の甲にかかる。
あ、あ、やっ、やだ……堰を切ったように溢れ出てくるマサキの嬌声。初めて耳にするその響きに甘美な陶酔を味わったシュウは、それをより高めるべくマサキの乳首から指を離した。
「なら、今日の『検査』はここまでにしましょう」
その瞬間。シュウの手首に添えられているだけとなっていたマサキの手に、はっきりとした力が込められた。巫山戯ろ。途切れ途切れの声がそう言葉を口にしたかと思うと、すっかり潤み切った目がシュウを振り仰いでくる。
「嫌なのではなかったの」
「お、前……この、悪党……ッ」
この展開を予見していたシュウとしては、ほくそ笑むより他ない。どうされたいの。シュウはマサキの目の際に滲む涙を口唇で吸い上げてやりながら尋ねた。もう、イキたい。喘ぐように言葉を吐いたマサキに、いい子ですね。シュウは笑いかけた。
「ほら、手を解いて。このままではあなたの望みを叶えてあげられませんよ、マサキ」
その言葉を契機にするりとマサキの手が解ける。
シュウは片手をマサキの背に置いた。腰へと手を滑らせていきながら、もう片方の手でジーンズを下げる。な、に。腰から尻尾へと伸びてきた手に、マサキの表情が一変する。
「達したいのでしょう、マサキ」
尻尾を撫でてやりつつ、下着の中に片手を差し入れる。
ひゃん。マサキの口から飛び出た声は、尻尾を撫でられたことによるものなのか。それとも男性器を扱かれ始めたことによるものなのか。いずれにせよ、その表情から窺うに、シュウの手が編み出す快感はマサキにこの上ない恍惚を感じさせているようだ。
――あ、あ。シュウ、シュウ。
上気した頬に、だらしなく開かれた口唇。譫言のように自らの名を呼ぶマサキの表情は、シュウにとってはこの上ない烙印だった。
これで暫くは愉しめそうだ。ゆっくりと時間をかけてマサキを射精へと導いていったシュウは、果てた後の倦怠感で立ち上がるのもままならずにいるマサキの服の乱れを直してやってから、口元を支配する笑みを元に戻すことなく寝室を出た――……。
PR
コメント