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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

Much Ado About Love!(終)
甘くなるように頑張りました!私にしてはよくやったんじゃないかと思います!褒めて!笑

マサキは二枚目を気取っている二・五枚目なので、そこを生かせたらなあと思いながら書いたのですが、どうだったでしょうか。肝心のエロは相変わらずアレなんですが、ここはもうちょっと精進します……


<Much Ado About Love!>

 マサキにとって内腿を吸われるのは、耳を責められるのと同じくらいに感じるらしい。ぴくぴくと跳ねる肌。うっすらと浮かび上がる紅斑が猥《いかが》りがわしい。絶景の眺めだ。シュウは口元に愉悦の笑みを浮かべながら、マサキの腿を自らの口唇と舌で責め立て続けた。
 熱情に駆られて紅斑を刻むこともあったが、大抵は好みだった。シュウにとって紅斑は、彼に対する所有欲の表れでもあったが、同時に彼の身体に対する理解度を表す印でもあるのだ。数ある性感帯の中でもマサキがとみに感じてみせる場所。シュウはだからこそマサキの首元に紅斑を残したし、それ以上に内腿に数多く紅斑を残した。
 けれどもその時間は、マサキの劣情を極限にまで煽るものであったようだ。ややあって、シュウ、そろそろ……と、マサキが訴えてくる。シュウはマサキの腿から口唇を離し、面を上げてその顔を見下ろした。
 潤み切った瞳。しどけなく開いた口唇が淫らだ。
 欲しいの。シュウは抱えたマサキの足を開かせて、そこに腰を重ねながら訊ねた。くれよ。手を伸ばしたマサキがシュウの背中に腕を回してきながらねだってくる。
 初めの内こそ奪うようにマサキを抱き続けたシュウは、暫くしてその態度を改めた。口を開けば嫌だのやめろだのと抵抗を示す言葉ばかり。マサキの性行為に否定的な反応は、理解を求めて押し付けるばかりだったシュウに自らを省みさせる切っ掛けを与えた。
 自分の欲望をぶつけているだけの己が卑しく感じられて仕方がない。
 マサキに苦痛を与えているだけであるのならば、この行為に意味がない。性行為とは快楽の終着点だ。シュウは時間をかけてマサキの身体に快楽を教え込むことにした。全身をくまなく愛撫し、彼が好むスポットを探り当てる。マサキが喘ぐことを躊躇わなくなった頃には、シュウは特に挿入をせずとも満足を得られるようになっていた。
 だからなのだ。
 求められることがなければ与えずに済ませていたからか。いつの間にか欲望を素直に口にするようになっていたマサキに、今更ながらシュウは過ぎた時間の重みを噛み締めずにいられなかった。マサキ。シュウはマサキの名前を呼びながら、開かせた腿の奥。ひだを緩ませて待っているマサキの蕾に自身の男性器の先端を押し当てた。
「あなたのものですよ」
 頷いたマサキがシュウの背中に回した腕に力を込める。
 シュウは男性器をマサキの蕾に挿し入れた。腰を進めれば進めた分だけ、面白いように後孔に嵌まってゆく。これでいい? シュウはマサキに尋ねた。余計な力が入らないようにだろう。開いた口から静かに息を吐き出しているマサキが、返事の代わりに腰を絞ってくる。
「あまり力を入れられると動けませんよ」
 彼の熱を帯びた肉で締め付けられる感触は、脳が溶けるかと思うまでに気持ちがいい。暫く身動ぎせずに快楽に浸っていると、早く、動けよ。と、焦れたマサキが急かすように言葉を吐くいてきた。
 シュウは腰を引いた。ぴくり――と、シュウの男性器を締め上げているマサキの蕾が緊縮する。
 自らを誘い込むようなマサキの反応。反射的であっても淫猥だ。
「これでいいですか、マサキ」
 シュウはマサキの反応を窺いながら腰を動かした。あっ、あっ、シュウ。細まった彼の瞳。程なくして声を上げ始めたマサキが、シュウの視線の先で例えようのないほどに扇情的な表情を晒している。
「俺の」
 快感の高まりにつれて、硬さを増してゆくマサキの男性器。その感触を腹部で感じながら、シュウはマサキを突き上げた。俺の。気分の高まりがいつになく情熱的な言葉を吐かせているようだ。俺の。譫言のように繰り返すマサキが、シュウの背中に爪を立てる。
「出させて、マサキ。あなたの中で」
 間近に顔を寄せて、この世で自分しか見ることのないマサキの表情をシュウは瞳に余すことなく収めた。俺の、おれの、オレの。さざ波のように耳を満たすマサキの言葉が、シュウを快絶に舞い上がらせる。ああ、ほら。達《い》って、マサキ。次第に上がる顎。全身を弓なりに反らしてシュウを受け止めていたマサキが、あぁ――と、ひときわ細く高い声を上げる。
 直後、じわりと腹部に染み出してくる彼の体液。最高に下劣で、けれども最高に貴い彼の姿。びくびくと身体を震わせて自身にしがみ付いているマサキを抱き寄せながら、シュウは続けざまに彼の後孔を責め立てていった。

 ※ ※ ※

「機嫌を直してはくれませんか、マサキ」
 デスクの上に散乱する論文の一部は所々濡れて判別が利かなくなってしまっていた。皺が寄ってそのままでは使えない頁も多い。それらを片付けながら、シュウは足元で頭の上からジャケットを被ってうずくまっているマサキに声をかけた。
 醜態を晒したことを恥じているらしい。
 使える頁と書き直しが必要な頁を分類したシュウは、それらをデスクの上に纏めてから、ぴくりとも動かないマサキの前にしゃがみ込んだ。ジャケットを避けて顔を覗き込む。動揺して落ち着きを失った瞳。朱に染まった頬が愛くるしい。
「恥ずかしいですか」
「当たり前だろ」
「私は嬉しかったですよ」
 頬に手を寄せて口付ければ、その温もりで少し落ち着いたようだ。嘘を云ったつもりはねえよ。ぶっきらぼうに吐き捨てたマサキが、だけど――と、口籠りながら言葉を続ける。
「……大袈裟なんじゃないかって」
 俺の。と、延々シュウにしがみ付いて口にし続けたことを後悔しているらしい。重いのは嫌なんだ。ぽつりと続けたマサキに、シュウは思いがけず嗤い声を洩らしていた。
 自らをクールに見せたがる彼らしい。
 いざとなれば誰よりも熱血漢なところを露わとするマサキは、そうした自分をあまり良いものとは捉えていないようだ。普段は自分を抑えているのだろう。その幼顔《ベビーフェイス》からは想像も付かないまでにドライな言動の数々。それがシュウをしてマサキの気持ちを疑わせていたというのに、マサキ自身は好意を表すことを重く感じさせると思っていたとは。
「あなたに唯一無二と思われる以上の幸福などありませんよ、マサキ」
「……こっぱずかしいんだよ、俺が」
 余程の羞恥であったようだ。肩に顔を埋めてきたマサキの身体を、シュウはやんわりと抱き留めた。
 こういった性質である彼の本心を聞けるのだから、古代技術とはいえ魔術も侮れない。切っ掛けを作ってくれたリューネには後で心づくしの礼をしなければ……そう思いながら、シュウは今日新たに生まれた欲をマサキに囁きかけた。
「偶にでいいですから、また聞かせてくれる気はないですか」
「偶に、でいいなら」
「それまでは、私があなたに伝えますよ。どれだけあなたが好きなのかをね」
「本当に気障ったらしい奴だよな、お前……」
 云う割にはシュウから離れるつもりはないようだ。おずおずと背中に手を回してきたマサキに、愛おしさがいっそう増す。シュウは尽きることのない口付けを彼の顔へと注いでいった。





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