@kyoさんが自らエロのリハビリに励む作品です。
※女装受け注意。
総じてエロはギャグのつもりで書いています。
わたくし、過去何人かの異性に自分の服(ウエスト63センチ)を履かれて、「見て見てこんなに余るんだZE!」というのをやられているので、男性のウエストというのは、得てして見た目より細いものであると思っています。
そういった偏った男性観が反映されているので、その辺りは寛容に見ていただけると幸いです。
※女装受け注意。
総じてエロはギャグのつもりで書いています。
わたくし、過去何人かの異性に自分の服(ウエスト63センチ)を履かれて、「見て見てこんなに余るんだZE!」というのをやられているので、男性のウエストというのは、得てして見た目より細いものであると思っています。
そういった偏った男性観が反映されているので、その辺りは寛容に見ていただけると幸いです。
<Paraphilia.(或いはPerverted love.)(2)>
リビングでいつも通りにソファに腰を下ろして読書に耽っていたシュウは、近付いてくる足音に手元の本から顔を上げた。
ウエストに多少だぼつきがある以外は、誂えたようにサイズの合ったロリータ調のワンピース。硬い生地の服を好んで着るからか。ほどよい肉付きにも映るマサキの体型は、その実は見た目を裏切っていることをシュウは知っている。
締まるところの締まった細めの体躯。その掴みやすい手首や抱えやすい腰をシュウは気に入っていたけれども、いざこうして女物のワンピースを着せてみると、想像以上に体型に合っているのだから困りものだ。
きっと衣装の装飾の多くが、男らしさを感じさせる部位《パーツ》を隠してしまっているからなのだろう。
「もう、いいだろ……ちゃんと着たんだし」
まるで品定めでもするかのように、まじまじと自分に向けられているシュウの視線に耐えかねたようだ。きっと、風通しのいい腿が気になっているに違いない。膝より僅かに上、大きく膨らんでいるスカートを、恥ずかし気に両手で掴みながらマサキが云った。
「勿体ない。折角着たのですから、せめて暫くはその姿でいて欲しいものです」
「落ち着かないんだよ。裸で服を着てるような感じがあるのに、下着で締め付けられている感じもする。これだったらノーパンで服を着てる方がマシっていうか……」
なんのかやと云っても、こうして最終的にはシュウの我儘を受け入れてくれるのが、マサキのある種の気の弱さでもあるのだ。
相手に強引に出られる、或いは感情的に迫られると、彼は自分を曲げて妥協や譲歩をしてしまう。流石に絶対に譲れない信念までも曲げるような真似はしなかったものの、こと日常の些事に関してはその傾向が顕著だ。例えば家事の順番であったり、自分のしない買い物の同行であったり……それが自分だけに向けられているものではないことをシュウは知っていたけれども、だからといってマサキのそうした傾向を正そうとは思わなかった。
こうして自らの欲を果たす際に功を奏しているのだ。とやかく云って、何に対しても頑なになられてしまっては意味がない。それに、それもマサキ=アンドーという人間を構成するひとつの要素なのだ。どうしてシュウ如きが正せたものか。
「しかし、毎年珍妙な格好をさせやがる」
シュウに譲る気がないと悟ったのだろう。マサキは諦めた様子でシュウの隣に座った。
ふわり、とスカートの裾が大きく膨らむ。
膨らんだスカートの中から伸びる二本の脚。白いソックスが良く映える。膝を揃えて座れないのはご愛敬といったところか。それがマサキらしさを表しているようで、シュウの口元は自然と緩んだ。
「お前さ、俺がこういった恰好をしているのがそんなに楽しいのかね」
「ええ、勿論」シュウはマサキの髪を撫でた。「楽しくもないものを誕生日のプレゼントに選びはしないでしょう」
そのまま指先で毛先を弄ぶ。
どうせなら髪もセットしたかったところだが、流石にそこまではマサキも譲歩しまい。
去年とてそうだったのだ。どれだけシュウに押されても、髪を整えるのだけは死んでも嫌だとごね続けた。
一昨年もそうだった。化粧だけは死んでも嫌だとごねられた。
この日だけならとコスプレを受け入れても、それが違和感なく見られる状態に整えられるのだけは徹底して拒否してみせる――……何がマサキをそこまで頑なにさせるのか。自らの性が消えてしまうことを恐れているからではないかとシュウは思っているのだが、本当のところがどうであるかはマサキが語ろうとしないのでわからないままだ。
そのマサキはシュウに髪の毛を弄られるがまま、まるで人形のように大人しく隣に座っている。
「なんだろうな。趣味ならもっと日常的にやりそうなもんだけど、年に一度、この日だけなんてさ。それはそれで欲がないっていうか、何が目的なんだかわからなくなるっていうかさ」
「見るもの全てをあなたに着せたいとは思いませんからね、マサキ。これでも私はあなたに着せたいと思う服をきちんと選んでいるつもりなのですよ」
「選んでる、ね」マサキははぁ……と溜息を洩らした。
「もうちょっと、こうさ、普通にしてくれないもんかね。同じ女装にしても下着くらいは普通のものを履かせてくれるとか……」
愚痴るマサキの髪の下から覗く拗ねた表情を見ていると、シュウの脳裏にはよからぬ考えばかりが浮かび上がってくる。
徹底して喘がせたい。
この恰好で乱れ狂うマサキが見たい。
あどけなさを感じさせるロリータファッションには、マサキの蓮っ葉な表情がよく似合う。その下には、鮮やかに夜を彩るセクシーランジェリーが隠されているのだ。これで情欲を煽られなければ何に情欲を煽られたものだろう!
シュウは欲望を抑えながら、ねえマサキ、とその名を呼んだ。髪の毛を弄んでいた手を滑らせ、ほっそりとした顎に手をかける。「やだ、やめろって……!」身の危険を察したマサキが咄嗟に身体を引く。
しかし間髪を入れず。シュウはその手首を取ると、マサキの身体を自分の腕の中へと引き込んだ。
「何もしないって云っただろ!」
「無茶を強いないとは云いましたが、何もしないとは云っていませんよ」
すっぽりと収まった身体を抱き締めて暫く。抱き締める分には許してくれるらしいマサキの顎にシュウは再び手をかけて、その顔を仰がせた。
嫌だと顔を背けるマサキの耳元に口唇を寄せて、「これだけでも嫌?」シュウは訊ねる。
「……本当に、これだけ……なんだろうな……」
僅かの沈黙の後にマサキが云う。
嗚呼、彼はやはり押しに弱いのだ。シュウは思わず零れ出そうになる笑いを堪えながら、ゆっくりと顔を向けてくるマサキの口唇に己の口唇を重ねた。
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