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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

アカイイト(6)
@kyoさん20周年おめでとう記念祭

今回のリクエスト内容は「シュウマサ前提のテリウス×マサキ」となっております。

エロよーッ!
と、絶叫してみましたが、自分で苦手だと常日頃申し上げている通り、わたくし本当にエロを書くのは苦手です。今まで勢いで誤魔化してきたものの、いつまでもそれが通用すると思うな!
と、もうひとりのわたくしが申しておりますので、今回はとにかく描写を丁寧にする、を目標にすることにしました。

そろそろこの話も佳境ですね。残り1,2回というところまで来ると、寂しいような嬉しいようなそんな不思議な気持ちになります。ということで、あと少しだけお付き合いください。

では本文へどうぞ!

<アカイイト(6)>

 ――好きにはさせてやるが、絶対に声は出さねえ。
 このままテリウスの思うがままの展開になるだけは許し難い。マサキはそう誓って、ただ身体を差し出すだけのつもりでいた。それだのに。
 耳元から首周りにかけてをテリウスが舐《ねぶ》っている。時に舌を這わせ、時に口唇で吸い上げて。それを繰り返しては、時折、マサキの様子を窺うように顔を覗き込んでくる。
「どう、マサキ。気分は?」
「……最悪だ」
 こうして触れられるだけで、反応してしまう身体。
 特に耳が弱い。息を吹きかけられるだけでも、身体の奥に、もどかしく、そして焦れったく、何かが蠢《うごめ》く感覚が起こる。他人だとわかっていても、思い出さずにいられない夜。何度もシュウとの性行為《セックス》を経験してきたマサキは、それが快感だということを知ってしまっていた。
 繰り返される舌技に肌が上気していくのがわかる。うっすらと掻き始めた汗に、纏わり付く衣服が邪魔に感じられて仕方がない。そろそろと上がり始めた息を悟られまいと、マサキは口唇を硬く閉ざした。
「最悪だって云う割には、反応しているように見えるけど」
「だから最悪だって云ってるんだよ……わかれよ、そのぐらい」
「君ほど経験はないからね」
 他人の愛撫に感じるとは思っていなかった。
 血縁だからなのだろうか。似ていないようで似ている身体のパーツ。それは舌や口唇の厚みであったり、肌の柔らかさだったり、筋肉の付き具合だったりしたものだったけれども、肌に感じるそれらの感触が、矢鱈《やたら》とシュウとの夜を思い出させる。
 立て続けに顔を合わせたかと思うと、ぱったりと音信の途絶える男。やるべきことに没頭している時のシュウは平気でマサキを放置したものだ。最早、慣れてしまったこととはいえ、だからといって安穏と日々を送れる筈もない。
 心の平静は仲間と過ごすことで保てたものだったけれど、身体の方はそうはいかないのだ。
 強烈な快感を欲して、身体が夜泣きを始めることがある。
 マサキは丁度、その時期にいた。
 普段ならば自分で慰めたものだったけれども、任務で遠征をして戻って来たばかり。繊細にもシャワールームで思い出してしまうほどに、満たされない飢えを抱えてしまっているのはだからなのだ、とテリウスの愛撫に反応してしまう自分をマサキは納得させる。
「だからマサキ、教えてよ。どこが気持ちよく感じるのか」
 直後に、ここ? と耳介を吸われて、マサキは腰を浮かさずにいられなかった。わかってやがるじゃねえかよ――、と荒げたくなる声を喉の奥に押し留めて、「……さあな」と、口ばかりは強気に言葉を吐くも、テリウスはその程度で諦めるような性格はしていないらしい。しつこくも耳朶《みみたぶ》を食《は》み、舌を奥へと差し入れてくる。
 暫くの間、マサキは身体を震わせながら、その愛撫を受けた。暴れるつもりはなかったけれども、ついつい大きく揺れてしまう身体にベッドが軋む。それがテリウスを煽るのか、彼は暫くマサキの耳元を舐り続けたものだ。
 それでも、長く繰り返していれば次に進みたくなるものなのか、ゆっくりと身体を起こしたテリウスがマサキの衣服に手を掛けてくる。手枷で拘束された身体からは、全ての衣装が剥ぎ取れる訳でもない。はだけられたジャケットと捲り上げられたシャツによって、中途半端に晒された胸元。そこにテリウスの手が伸びてくる。
 下を脱がせる気は、まだないようだ。
 少しの間、テリウスは肌を晒しているマサキの身体を眺めていた。やがておもむろにその指先が、熱を帯びて宙を仰いでいる乳首に触れる。そして滑らかな感触でもって、緩やかに嬲ってゆく。あ、と堪えていた声がマサキの口元から零れ落ちた。
「ちょっ、と、待て……」
 既に身体が熱を持って久しいからか。容易く口を吐いて出た喘ぎ声に、マサキは動揺を隠せない。あんなに強く誓ったというのに――。慌ててテリウスを止める言葉を口にするも、それで解放してくれる男だったらマサキを拘束してまで事に及ぼうとは考えないのだ。
 あ、ああ、とマサキは立て続けに声を上げた。止まらない愛撫。そのマサキの反応がテリウスにとっては意外だったのか。彼は実に愉しげに、その指の腹でもってマサキの乳首を弄んでくれたものだ。
「マサキ、君、乳首感じる人?」テリウスはにっこりと微笑んで見せると、「そんなに簡単に声を上げちゃって。それじゃ服で擦れるだけでも大変なんじゃないの?」
 そうでなくともシュウの手で感じ易く躾けられた身体。しかも満たされぬ欲望抱えてしまっている。それを充分に高められた状態で触れられることの苦痛! 言葉を吐きながらも指を動かすことを止めないテリウスに答えられないまま、マサキは悶え、そして喘ぐ。
「やめ……馬鹿、お前待てって……あっ、ああ」
「こんなに感じてるのに。止めたら辛いのは君の方だよね、違うかな」
 甘ったるく、そして衝動的に口から吐き出される喘ぎ声が、まるで他人のもののように耳に残る。何故と問い掛けても、答えを持つのは自分自身。早くもマサキは自分の身体が起こす反応を自分で制御出来なくなりつつあった。
 絶え間なく襲いかかってくる快感は、逃げ出したくて堪らないほど。断続的に跳ねる背中。手首は鎖を引っ立ててチャリチャリと音を立てた。この自由にならない身体がもどかしい。マサキは自身を弄ぶテリウスの顔を見上げ、耐えきれなさに懇願した。
「やめ、やめろって、テリウス。そんなに続けられると、達《い》く……」
「そんなに好きなんだ、ここを弄られるの」
 す、とテリウスの手がマサキから離れた。自身を責め立てる快感から解放されたマサキは、ほうっと息を吐く。今のマサキの身体にとっては些細な愛撫ですら毒なのだ。それを思い知ったマサキは、三度、自身を拘束する手枷から逃れようと試みるも――。
 びくともしない鎖を信頼しきっているに違いない。テリウスはもがくマサキに構いもせずに上体を屈めると、その口唇をマサキの乳首に寄せてそっと食《は》んだ。
「馬鹿、お前、舐める、な……! 本当に出る、って……」
 薄く開かれた口唇の隙間から這い出した舌が、先程までの耳元への愛撫を思い起こさせるような動きでマサキの乳首を舐めた。舌先で弄んだかと思うと、じっとりと舐め上げ、もしくは舐り、そして吸い上げる。
 マサキはいやいやと首を振った。とにかく解放されたくて仕方がない。膝を開いていることすら辛く感じるほどの快感が、絶え間なく襲い掛かってくる。だのに閉ざせない足。
 テリウスの腰を膝で挟んで、首を振って……マサキは喘ぎ続けた。

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