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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

神のまにまに(5)
@kyoさん20周年おめでとう記念祭

リクエスト内容は「シュウマサ前提のフィルロード×マサキ」となっております。

なんか描写が日和った感じになりつつあるんですけど、一応、覚悟が出来た方だけどうぞとお伝えしつつ、いやもっとエロくしたいししたかったのよー、と言い訳なんぞもしつつ、でもこの話書くの超楽しいんですどうしよう!!!!と締めて、では本文へどうぞ!!!!
<神のまにまに(5)>

 何故、記憶が歪んでしまったのか。マサキにはわからない。これまでのマサキには、ラングランに召喚されてから王都が壊滅するまでの間、何度かシュウとふたりでティータイムをともにした記憶しかなかった。時々、シュウとの間で思い出として口にすることもあった穏やかだった時代のふたりきりの時間の記憶。それが、フェイルロードが口にした咒文を耳にした瞬間に、その様相を大きく変えてしまった。
 本能に突き動かされるように、身体を重ね合った日々。
 何も思い出さずにいられたら、過ぎ去った時代のこと。シュウとふたりで過ごした僅かな時間の記憶を、あんなこともあったと懐かしく振り返り続けられたものだったのに……マサキは歯噛みするような思いで、それでもフェイルロードを求める気持ちを抑えきれずに、その腕の中、幾度も彼の口唇を求めては口唇を重ね続けた。
「君とふたりきりでこうした時間を過ごすのは二度目だね、マサキ」
 口付けの合間に、フェイルロードが吐息混じりにそう囁きかけてくる。そうだよ、とマサキは喘ぐように答えて、ようやく耳介に触れた彼の口唇の湿った温もりに、身を竦ませながらも期待を隠せずに。
「私とクリストフで君を抱いた回数を数に含めるのなら、五度目だ。覚えているかい、マサキ」
 たったそれだけだったの回数だったのかとマサキは思った。三度、そう三度。たったそれだけの回数でしかなかったのだ。マサキとシュウとフェイルロードと、三人で肌を重ねた回数は。
 もっと長い時間を彼らに凌辱されて過ごしたような気がしたものだったのに……マサキの脳裏に当時の記憶が浮かび上がってくる。それはコマ送りの映画のフィルムを見るような動きで、浮かんでは消え、消えては浮かぶを繰り返した。
 二度はシュウの自室でだった。
 初めて三人でベッドをともにしたあの日、思いがけずシュウの居所にいたフェイルロードはシュウから何を聞いたのか。そのまま、当然のようにのフェイルロードの目の前で咒文を口にしてみせたシュウと、その効果で自制心を失ったマサキの睦み合いを目の当たりにした彼は、あなたも混ざりますか、フェイルロード……というシュウの明け透けな誘いに途惑いを見せることなく、マサキの身体に手を伸ばしてきた。
 ――君がこんな顔をするとは思っていなかったよ、マサキ。
 穏やかな表情ながらも欲望を感じさせる眼差しで、シュウの愛撫に反応しているマサキを眺めていたフェイルロード。魔装機操者を監督し、庇護する立場にあった彼が、よもやこうして魔装機操者たる自分に手をかけてこようとは……その関係性を思い出したマサキは、フェイルロードの言葉を耳にした時に、一瞬、意識を覚ました。
 この関係にフェイルロードを巻き込む訳にはいかない。さしものマサキも自分に直接的な影響を与える相手とまで、関係を持ちたいとは思えなかったのだ。けれども、そのささやかな抵抗は脆くも直ぐにシュウによって封じられてしまう。
 ――お前、また、飲み物に何か入れやが……
 シュウに押さえ込まれた身動きままならない状態で、ベッドに横たわることしか出来なくなったマサキを、フェイルロードは思う存分に弄んだ。少し触れれば過敏に反応して見せるマサキの身体。それを彼は面白くて堪らないといった様子で何度も犯した。
 実直な彼の隠された一面を、マサキはそのときに知った。
 シュウとフェイルロード、二人に交互に犯されたマサキは、未知の刺激に身体が歓喜の咆哮を上げるのを止めることが出来なかった。迸《ほとばし》るように口を吐く喘ぎ声。彼らの精を身体で受け止める度に、マサキは幾度も絶頂《オーガズム》を迎えたものだ。それがシュウの仕掛けた呪《まじない》の所為であったのか、それとも元来マサキにそういった資質があったからこそなのか、今となっては行為に慣れきってしまった身体。マサキにはわかりようもない。
 わかっているのは、この日以降、マサキは更に自分ではどうにもならない欲望を、その身に抱えるようになってしまったということだけだ。
 激しく身体を支配した快感の記憶に抗いきれず、そう日を開けずにマサキがシュウの居所を訪れた二度目のあの日もそう。そこに居たフェイルロードにマサキは内心、歓びを感じてしまっていた。まるで一度知ってしまった獲物の味をもう一度求めて姿を現す獣のように、再びマサキを狙いに来たフェイルロード。そして何を目論んでいるかはっきりとさせないまま、マサキを快楽の渦へと落とし込んでみせるシュウ。
 ふたりの欲望は限りを知らないようで、マサキは少量の精液を吐き出すのがやっとになるまで、その身体を解放してはもらえなかった。
 上と下の口に男性器を含まされては、代わる代わる。何度も飲み込んだ精液が喉に纏わりつくような感触が抜けないまま、ようやく解放されたマサキは、ふらつく身体でどうにか家に帰り着き、他に何をするでもなく死んだように眠った。若さに溢れていた当時のマサキの健康な肉体であっても、倦怠感はそののち二日も残った。後悔の念は激しかったけれども、それでもマサキはシュウの元に通うことを止められなかった。
 三度めは薔薇園の四阿《あずまや》でだった。
 居所を訪ねたマサキに側仕えの従者は告げたものだった。「クリストフ殿下でしたら、恐らく薔薇園の方においででしょう」その言葉を信じて四阿《あずまや》に向かった。果たしてシュウはそこにいた。迷い込んだマサキがシュウと顔を合わせてしまったあの四阿に。
 従者の言葉が唯一違っていたのは、その四阿《あずまや》にフェイルロードも居たことだった。
 欲望に突き動かされるがままここまで足を運んでしまったものの、よもやいつ人目が出来てもおかしくない場所では、さしものシュウもことに及びはしないだろう。マサキは穏やかに時間を過ごしている二人の太子を見た。ましてや常識人たるフェイルロードも同席して居るのだ……欲望に限りはなかったけれども、稀にはこういう思いもしておいた方がいい。そう思って、今日の性行為を諦めかけたマサキが帰路に着こうとした刹那、マサキに気付いたシュウは四阿《あずまや》へとマサキを招き、さして時間も経たぬ内に例の咒文を唱えてみせたのだ。
 咽返《むせかえ》る薔薇の香り。
 色取り取りの薔薇を愛でる暇も余裕もないままに、マサキは彼らの欲望を一身に受け止めた。
 身体の奥底に吐き出された体液の熱くも滴る感触が消え去らぬ内に、彼らは次々とマサキの体内にその凶器とも思える男性自身を押し込んできた。そうやって代わる代わるマサキを犯しては、羞恥心も忘れて欲望の赴くままに彼らを求め、そしてそれが故に彼らに従順たるマサキをじっくりと味わってみせた――……。


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