@kyoさん20周年おめでとう記念祭
リクエスト内容は「シュウマサ前提のフィルロード×マサキ」となっております。
あのですね、実は既に14000字を突破しておりまして、完結する頃には20000字に達するんじゃないかと思われるんですが、この企画大丈夫ですかね? いや、あの、私はいいのですが、読み手の皆様的に、このテイストの話をこんなに長文で読まされるのって苦痛じゃないかなー……、と心配でして。
まあ、無理と云われましても、書いてしまったものは仕方がないんですが!
と、いうことで本文へどうぞ。
リクエスト内容は「シュウマサ前提のフィルロード×マサキ」となっております。
あのですね、実は既に14000字を突破しておりまして、完結する頃には20000字に達するんじゃないかと思われるんですが、この企画大丈夫ですかね? いや、あの、私はいいのですが、読み手の皆様的に、このテイストの話をこんなに長文で読まされるのって苦痛じゃないかなー……、と心配でして。
まあ、無理と云われましても、書いてしまったものは仕方がないんですが!
と、いうことで本文へどうぞ。
<神のまにまに(6)>
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掘り起こされた記憶が、マサキの火照った身体を更に。煽り立てては侵食してゆく。
「私ひとりでは物足りなく感じるかい、マサキ」
耳介を食《は》んでいたフェイルロードの口唇が、熱い吐息と絡み合いながら舌を吐き出してくる。耳に、首筋に、鎖骨に……その舌先が、味わうようにマサキの肌を辿って行く。
抱えられた腰。そのままやんわりと草の褥に横たえられた身体から、既にマサキが自身で解きつつあった衣服がすんなりと剥ぎ取られる。
「そんなことは……」
言いかけて、あ、と声を上げたマサキは背をしならせた。素肌を晒したマサキの身体の上に覆い被さってきたフェイルロードの手は、マサキの胸元を弄《まさぐ》り始めていた。
時に触れる指先から与えられる刺激に、乳首が硬さを増してゆくのがわかる。もっと、もっと。マサキは更なる刺激を求めて、フェイルロードに懇願するように声を上げた。
フェイルロードとマサキがふたりきりで肌を重ねる時間を過ごしたのは一度きりだった。
四阿《あずまや》での饗宴の少し前のことだ。
その日、マサキがシュウの居所を訪ねると、彼の姿はなく。従者の話では用事の為に外出しているという。それなら、と居所を辞そうとしたマサキに従者はこう告げた。
「クリストフ殿下も直ぐに戻ると仰ってましたし、フェイルロード殿下もお待ちですから、どうぞ中にお入りください」
マサキは躊躇った。フェイルロードが怖かったからだ。
庇護者としてマサキたち魔装機操者を統括しているフェイルロードが、突然に雄と化して自分に襲い掛かってきた。その現実は、マサキに恐怖心だけでなく、フラストレーションをも感じさせたものだった。
王族たるフェイルロードと一介の戦士であるマサキとでは、いかにマサキが魔装機操者として一般国民にはない特権を得ていたとしても、日常生活でプライベートな時間にふたりきりで顔を合わせる機会はない。
例えばそれは護衛の兵士であったり、側仕えの侍女や侍従であったり、魔装機の操者たちであったりしたものだったけれども、王位継承権第一位を誇る立場に相応しく、フェイルロードの周りには常に誰かしらが控え、彼の立場に相応しくない者たちの露払いに余念がなかった。
彼の隠された一面を目にしてしまったマサキは、だからこそ煩悶した。それは決して語ってはならない本性、隠し続けなければならない秘密なのだ。
どこかでマサキはフェイルロードを超越者として特別視していたのかもしれない。地底人である民草に理解を寄せるのは勿論のこと、マサキたち地上人にも心を配ることを惜しまない。圧倒的な強者感を誇るアルザールと比べると繊細には感じられたものの、理想的な君主。フェイルロードには人を傅《かしず》かせ、従属させるだけの品格が備わっている。
多くの人間に慕われるフェイルロードの姿を日常的に目にしていたからこそ、そしてまた自身もそのひとりであったからこそ、マサキは苦悩を抱えざるを得なくなった。
だからマサキは躊躇ったのだ。
フェイルロードとふたりきりでシュウの戻りを待つ。その時間はどうしようもなく長く感じられることだろう。その間、フェイルロードはマサキを放置していてくれるだろうか? そして、いつものように穏やかに会話を交わす、それだけに留めておいてくれるだろうか? それとも、欲望を叶えんとマサキにその手を伸ばしてくるのだろうか?
直ぐに戻るといったシュウが戻ってきたところで、事態は改善しない。むしろ悪化するだけだ。それだのに、マサキは思ってしまった。フェイルロードとふたりきりの時間を過ごさなければならないくらいなら、シュウと三人で欲望に溺れる方がどれだけましかと。
それを、「殿下の親しいご友人を勝手に帰したとあっては、私どもが叱られますから」と従者はかき口説いた。知ったことかと帰れる性格である筈のマサキは、その言葉に足を止めてしまった。そしてシュウの自室へ、ひと足先にフェイルロードが待つその部屋に足を踏み入れてしまったのだ。
――夜の帳の向こう側で。
フェイルロードは咒文でもって、マサキをベッドに縛り付けた。そのときに感じた絶望感! いたたまれなさに苛《さいな》まれながらも、だのに、マサキは自らの性欲を解消させたくて堪らない。
――夜の帳の向こう側で。
フェイルロードは咒文でもって、マサキをベッドに縛り付けた。そのときに感じた絶望感! いたたまれなさに苛《さいな》まれながらも、だのに、マサキは自らの性欲を解消させたくて堪らない。
禁忌を犯している背徳感。こうしてフェイルロードと肌を重ねることは、彼を信奉する仲間たちを裏切る行為でもある……わかっていながらもシュウの施した呪《まじな》いは強力にマサキを拘束した。
身体の奥にその熱い昂ぶりを受け入れて、ただの自慰では感じられない絶頂《オーガズム》を得たい。
マサキの欲望に限りはなかった。導かれるがままにフェイルロードの男性自身を口に含み、求められるがままに彼が放った体液を飲み干した。それも全て、のちに与えられるだろう快楽の為。マサキは快楽という褒美の為に、従順に奉仕することを厭わなくなっていたのだ。
嵐のようにマサキを奪っては奉仕を強い、そして叩きつけるように快楽へと突き落とすシュウの遣り方とは異なるフェイルロードの性行為《セックス》。彼は一度の逢瀬の間にマサキを何度も求めはしたけれども、だからといってシュウのように強烈に爪痕を残すような真似はしない。
彼はやはり心根優しき王子であるのだ。
時に誘うように、時に導くように。そして、時に包み込むように……彼はその口ぶりとは裏腹に、まるで割れ易い陶器を手にしたかのような慎重さでマサキの身体を扱ってみせた。それはフェイルロードの相手を尊重し、慈しむことを忘れない性格から来るものであっただろう。
けれどもマサキはそんな心根優しき王子との性行為に、あろうことなかれ。
物足りなさを感じてしまったのだ。
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