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あおいほし

日々の雑文や、書きかけなどpixivに置けないものを。

神のまにまに(7)
@kyoさん20周年おめでとう記念祭

リクエスト内容は「シュウマサ前提のフィルロード×マサキ」となっております。

今回、エロはここまでになる予定なんです。なんだかエグくなると云った割にはそれほどでもなかったですね、すみません。これは他の作品で頑張るしかないなあ、と思いつつ、ようやく残り1,2回で終わるところまでこぎつけた達成感に満たされております。
エロを書くのはそれだけ気の要る作業だってことなんですけど、気を引き締めて続きも頑張りますので、もしよければ拍手、感想等、応援お待ちしております。笑
<神のまにまに(7)>

 快感に飢えるマサキを追い詰めるかの如く、時間をかけてじっくりと行われたフェイルロードの愛撫に、そうしてマサキは彼を自ら求める言葉を吐いた。それだのに……フェイルロードから望んだものを与えられながら、自堕落にもマサキは望んでしまった。もっと強い刺激が欲しいと。
 シュウと身体を重ねたときに感じる痺れるような快感。肛虐を受けるマサキの菊座はどうしようもないほどに熱を帯び、うねり、収縮し、彼の男性自身を飲み込まんとする勢いで快楽を貪ったものだ。それだけではない。その頃になると、マサキはまるで全身が性感帯になったかと錯覚するほどに、どこを触られても気持ちが良く感じられて堪らなくなる。フェイルロードと異なり、彼は滅多にマサキの背中を抱いたり、指先を絡めたりとはしなかったけれども、その突き放したよう手荒な扱いにこそマサキは快感を覚えるようになったものだ。
 シュウとの性行為に等しい快感が欲しい――マサキは喘ぎながらも、どこか冷めている自分の意識を感じ取っていた。
 時に緩く突き上げられ、時に深く貫かれ、時に自ら腰を振り、時に自由を奪われながら、激しく身体の奥を叩かれる。断続的に襲い掛かる快感に、ついにマサキは自分の精を放った。けれども、性行為を終えたばかりだというのに、消化不良な気持ちが拭えぬまま。
 次の瞬間には、マサキは自らの体内から抜かれたばかりのフェイルロードの男性自身に口を付けていた。
 思ったよりもふたりの逢瀬は長く続いた。長い愛撫に挿入と、シュウに限らず、フェイルロードもまた時間をかけてマサキの身体を味わう性質だったからだ。それが唐突に終わりを告げたのは、そこにようやく用事を追えたらしいシュウが戻って来たからだった。
 彼はフェイルロードがマサキに手を出すと予測していたのだろう。そうっと静かに部屋に身体を滑り込ませて来ると、いつの間にかベッドの脇に立ち。フェイルロードの下で切なく喘ぐマサキを凝っと見下ろしながら、
 ――どうです、マサキ。私なしでも他の男を受け入れられるようになった感想は。
 フェイルロードを目の前にして、彼では物足りないのだとも云えない。マサキは快楽に溺れているふりをして、そのシュウの言葉を遣り過ごした。
 シュウは性行為中に頻繁にこういったマサキを快楽に縛り付けるような問いを吐いたものだったけれども、このときは違った。いつもならマサキが答えるまで重ねて問い続けてくるシュウは、何故かあっさりとマサキを詰問するのを止めると、苦笑とも嘲笑とも取れない曖昧な笑みを浮かべてみせ、今度は視線をフェイルロードに向けた。
 ――私の目の届かないところでは繰り返さないで欲しいものですね、フェイルロード。強い呪《まじな》いは思いがけない作用を齎《もたら》してしまうこともある。
 ――君は独占欲の強い性質《たち》だからね、クリストフ。
 ――するな、とは云っていませんよ、フェイルロード。不測の事態に私が直ぐに対応できるようにして欲しいと云ったまで……ところで、どうします。このまま続けられるというのであれば、私は席を外しますが。
 ――君の従者たちに不審に感じられても困るだろうに。今日はこれで失礼するよ、クリストフ。この後に情報局で会議が控えている。思ったよりも君の帰りが遅くなってしまったお陰で、もう出なければならない時間だ。
 そしてフェイルロードは手早く身支度を済ませると、火照る身体を持て余すマサキを残して、ひとりでシュウの居所を辞してしまった。そう、マサキの燻ぶった欲望をシュウがどう解消するのか。見届けもしないままに。

 紫の薔薇が咲いている。
 フェイルロードの柔らかい愛撫に身を任せながら、そして脳裏を過ぎる思い出を反芻しながら、マサキはぼんやりと咲き乱れる薔薇を眺めていた。
 ほら、マサキ――、頃合いを見計らったようにマサキを誘うフェイルロードの手に導かれ、身体を起こしたマサキは口元にあてがわれた彼の男性自身に口を付けた。
 マサキの頭に下りてきた彼の手が、その髪を撫でる。優しい手だ。マサキは思いながら、その熱い昂ぶりに舌を這わせ、彼の吐息が荒くなるのを聞いた。麝香《ムスク》の香りがするシュウの身体とは異なる肌の香り、ゆっくりと口唇を開いて男性自身を飲み込みながらマサキはその匂いを嗅いだ。
 男らしさを感じさせないさっぱりとした香水のような匂い……。
 マサキがフェイルロードを喪ってからどれだけの年月が過ぎただろう。マサキは浮かんだ疑問に躊躇した。振り返るのに時間が必要なまでに、いつの間にか過ぎていた月日。変わらぬ姿でそこに存在しているフェイルロードと異なり、マサキたちは成長を続けている。
 ――きっと、自分はシュウに過去のことを問い質すより先に、シュウとの性行為を求めてしまうのだろう。
 今のマサキとシュウの間には穏やかに過ぎてゆく時間がある。時に語り合い、時に寄り添い合い、時に同じ志を胸に抱いてともに前に進む。積み重ねた時間は、徐々にマサキの中の拘りを捨てさせていった。今となってはあの頃の頑なだった自分の考えなどわかりようもない。
 性行為に挑むときのシュウは変わらずに激しくマサキを攫《さら》ったものだったけれども、だからといってあの頃のように冷徹にことに挑むような真似はもうしない。あれだけマサキを激しく快楽に縛り付けておきながら、シュウはその呪《まじな》いを用いずにマサキを獲得してみせたのだ。
「殿下、まだ……?」
 フェイルロードにそう訊ねて、再びマサキは男性器を口に含む。温かい眼差しで自分を見下ろしているフェイルロードの顔を見上げながら、そうして奉仕を続けること暫く。髪を撫でていたフェイルロードの手が、マサキの頬にかかった。
「相変わらず君は口を満たすのが好きなようだね、マサキ」
 長い奉仕の果て。そっとマサキの口唇を自身の男性器から剥がしたフェイルロードは、膝の上にマサキを乗せながらその双丘の奥へと昂った男性自身を埋め込んで。そしてマサキの膝を開かせると、腰を抱えて下からその身体を突き上げ始めた。
 長く求め続けていたものを与えられたマサキは、ようやく得た温もりに、ああ……と溜息にも似た喘ぎ声を洩らす。
 疼いて堪らなかった身体。それが今度は快楽に支配される。
 マサキは自らもまた腰を振った。より強い快感を覚える為に。そうして腰を抱えているフェイルロードの手を取って、自らの乳首に導いた。更なる快感をこの身に得がたんと。
 ふふ……とフェイルロードの笑う声。直後、マサキの首筋にかかる彼の息がなりを顰めたかと思うと、その口唇が強く肌を吸った。「殿下……」マサキは大人しく彼からの首筋への熱い口付けを受け、そして彼の愛撫と挿入された男性器に欲望を翻弄された先に、自らを放って果てた。


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